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FATE【BL】
第22話 7頁
相手をここで犯したくても、レイサックの手から振り払うことさえ出来ないアルタイルは、非常に苦しんでいる。


これは生殺しだ!…と風王が心の中に苦情を叫んだ。


「アル?顔色悪いぞ。大丈夫か?じゃ、中に入ろう」レイサックはアルタイルを心から心配している。ただ、それは友情に過ぎない。


アルタイルは頷き、気持ちさえ伝えない王とはこの世界に彼だけであろうと自分が情けなく思っている。

レイサックは女官たちを呼び、風王を案内するようと命じた。そのあと、若水王は元気いっぱいで風帝国からのパレードを指示し、準備作業を続けた。

部屋まで案内してくれたアルタイルは、直ぐ女官たち囲まれ、明日の衣装や式の準備を確認するためであった。

太陽が大空から去り、風王は朝の時以後、レイサックと会えなかった。それぞれが自分の準備で手一杯であった。


婚礼式の前夜、風王の部屋には、海色の壁に青い宝石が飾っており、最高級の客の為の寝室である。


しかし、アルタイル風景には周りの物を見る暇はない。彼がベッドに寝て、レイサックの事ばかり考えている。

風王は自分が婚礼式を中止することが出来る。けれども、それは彼とレイサックとの絆を永遠に切ると同じ。


そういっても、アルタイル風王はカリナ姫の気持ちを受け取れない。

抱くことが出来ない夫婦なんて、この世にいるか!?

結婚すれば、絶対に後悔する。自分もカリナ姫も。

だから今はレイサックと真剣に話し合うべきだ。納得できるまで土下座でもしてやる!!と決心したアルタイル。


朝の時には人が多く、派手な行動は出来なかった。でも、今なら寝室に行き、二人きりで話せば・・・とアルタイルがすぐ大きな扉に向け、開こうとしたが、さっき彼は普通に出入りできた扉が開けない。

手近な窓にも試したが、部屋全体が閉鎖されている。

アルタイルはもう一度大きい扉に向け、緑の力を手に呼び、扉を壊そうとした。

「無駄な行動はおやめなさい」太く低い声が部屋の中心となるベッドの方向から聞こえた。

アルタイルはベッドに振り向くと、声の主を見た。背が高く、真っ黒なガウンと同じ色の長い髪。

ベッドの隣に立っている彼が紫色の瞳で、風王を見詰めた。

「バーナッド!!」アルタイルは此処に居るはずがない土王の名前を叫んだ。


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あきゅろす。
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