FATE【BL】
第36話 7頁
一方、剣に刺されたバーナッドを見た瞬間から、アルタイルは必死に助ける方法を考える。
(考えろ!アルタイル!このままじゃ、バーナッドが…)
自分のせいで、また誰かを死なせたくない。
このまま、バーナッドが父上に殺されると考えたら、アルタイルは心の中に叫ぶ。
(とにかく、アイツが俺のせいで、死んでたまるか!!俺の神生をこんな目にあわせて!)
だが、何度叩かれても、バーナッドが張られたバリアは、崩れない。
普通主が弱くなったら、バリアも弱くなるはずだが、土王は昔のような失敗はしない。自分が死んだとしても、決してアルタイルをバリアの中に入らせない。
どうする?
力が遣えないから、いや、遣えたとしてもこの強力なバリアを破れるかどうかも分からない。
破るより、一瞬でも穴が開けば、と風王が思う。
その瞬間にアルタイルは、あることを思い付いた。
(父上がここにいるというのは…そうだ!!)
「ゲレル、ここにいるんだろう?」気配が感じられなくても、アルタイルはゲレル風帝国の大将が、敵帝国に来る父上に着いていないはずがない。それで、彼はゲレルの名を呼んだ。
すると、彼の隣に跪いている風帝国の大将の姿が現れた。
「王」中高年のゲレルはアルタイルと目を合わせず、俯いたままであった。
前の戦場で王を守れなかったからか、居るのにずっと姿を現していなかったからか、いずれも、罪悪感を感じているゲレル大将は、アルタイルの目を逸らす。
「ゲレル、バリアを破れ。一瞬でも良いから、早く!」アルタイルが慌てて命じた。
「危険すぎます。わたくしは出来ません」アルタイルが思った通りの反応であった。
「破れ!」
アルタイルに厳しい声で攻められると、ゲレルは理由を説明しようとする。
「しかし、王に何が起こりましたら…」
そう聞いたアルタイルは思い切って、冷たい声で告げる。
「ゲレル、顔を上げろ。俺の目を見ろ」
命令を受けた風帝国のゆっくりと顔を上げ、主の目と合わせた。
「一度だけ聞く。お前の王は誰?力のない俺だからお前の王に相応しくないか?」アルタイルは真っ直ぐ部下を見詰めながら、聞く。
「な…何を仰ったんですか!!?そんなことはございません。私の王はアルタイル様でございます」今度ゲレル大将が慌てて答えた。 「ならば、俺の命令に従え。このバリアを破れ」アルタイルはもう一度命じた。
そう言われて中高年の大将は、仕方がなく、バリアを触ると、ゲレルの顔が困ったような表現に変わり、小さい声で呟く。
「申し訳ございません。このような強力なバリアを破る為に、私の力だけでは穴さえ開けません」
ゲレル大将は深く頭を下げる。
確かにアルタイルが心配した通り。このバリアが簡単に破られない。
もう一人が必要。強力な力を持っている者。誰がいるか!?
…7月18日更新…
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!