FATE【BL】
第22話 6頁
レイサックはアルタイルの真剣な顔を見つめ、爆笑した。
「ふふ…ははは…アル、君はあんなことに心配しているの?我らって人間と違って、年齢は関係ないのに?」
水王はアルタイルの依頼を真面目に受け取れず、冗談だと思った。確かにレイサックが言った通り、彼らにとって年齢のことを心配するのは無意味である。
「ロス、僕は真剣だ」風王はもう一度言った。しかし、相手には伝わらないようである。
若水王がアルタイルの肩を慰めるように叩いた。
「分かった。心配しないで。あれを見てごらん」レイサックは水竜殿の右側にある小さな窓を指した。
窓に人影が見える。その人は自分が見られたと気づき、直ぐカーテンの後ろに隠した。
一瞬だけであったが、幼い時から三人で一緒隠れん坊をしていたので、アルタイルはそれがカリナ姫に違いない。
「隠しちゃったな。姫が一番君に迎えに来たかったよ。しかし、古い規則を守らないとね。式まで会えないそうだ」レイサックは説明した。
伝統的なやり方では、婚礼式が決めた以来、花嫁と花婿は当日の式までに顔を合わせられないという。少し面倒くさいな規則であるが、アルタイルにとっては救われた。
レイサックは親友の不安な顔を見て、風王はまだ年齢のことに気になると思い、もっと説明した。
「姫は君が一番大好きだ。僕はずっと見ていた。アディスのことは一度姫に聞いたことがあったよ。けど、姫は君以外誰とも結婚したくないって。自信を持てろ!花婿さま!」レイサックは風王を励まさせるように話したが、結果は逆である。
切り札が・・・なくなった・・・
それに、彼が一番愛しい人がほっとしたような顔をしている。
レイサックがアルタイルに告白されてから、凡そ一か月。水王の心の中には悩みばかりであった。
アルタイルの変な行動はラーカインのせいだとレイサックが思っている。炎王はあんな話を風王に言わなければ、今日の婚礼式は行われないであろう。
勿論レイサックはアルタイルとカリナ姫を結婚してほしいだが、こんな形でやると考えたこともなかった。
「アルはただ間違っていた。間違っていただけだ」レイサックはこの一か月間ずっと自分に言い続けてい来た。
それでこの間アルタイルから「話し合いたい」という依頼が何回に来ても断っていた。
しかし、さっきのアルタイルの質問は全て彼の心配がなくなった。風王はカリナ姫と結婚したくない理由は、以外と年齢である。そう考えると、レイサックは嬉しそうに微笑んだ。
「アル。姫を頼む。姫を幸せにしくれ」レイサックはアルタイルの両手を掴み、深青い瞳が真っ直ぐ風王を見詰めた。
「ロス・・・・僕・・・」言葉が失ったアルタイル。掴まれた両手に、ラーカインの力を襲撃された時より痛いと感じた。
何とかやらないと・・・
そのままではいけない・・・
ロスをここで襲ってしまったら・・・
彼の気持ちが伝えられるであろう・・・とアルタイルが考える。
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