FATE【BL】
第36話 2頁
アルタイルはバーナッドの答えを聞き、驚いた。
「何のことだ!?バーナッド。『約束』とは何ですか!?父上」アルタイルはバーナッドとゼファー前風王に事実を聞く。
バーナッドはアルタイルの隣からゼファー前風王が立っている所へと歩き出す。アルタイルは直ぐ追いかけ、バーナッドを掴まえようとする。
だが、風王と土王の間に見えない壁が出来、アルタイルの手はバーナッドに届けなかった。バーナッドは、アルタイルが入れないように、自分とゼファー前風王の周りに四角のバリアを張ったからである。
「力が無いそなたにはいい点もありますね。眠らせなくてもバリアを破る心配はありません」バーナッドはアルタイルに向けて、いつものように優しく微笑みながら言う。
昔には確かにこのような場面があった。どうしても忘れられないあの日。バーナッドの兄上であるバーリウスが、当時風王であったゼファーに殺された日。理由を聞く為に、バーナッドは風帝国に行き、直接ゼファー風王に伺った。
その時、アルタイルも一緒にいた。だが、残酷な事情を知らせたくない為に、バーナッドが幼い頃のアルタイルを眠らせた挙句、途中でアルタイルは保護バリアから出てきた。結局、ゼファー風王は、嫡子の代わりに、攻撃を受け、傷を負った。
更に、ゼファー風王はその負けをきっかけにし、風帝国を土帝国の植民地として渡した。ゼファー風王が王になってから、唯一風帝国が植民地になったということである。
それがきっかけで、アルタイルとバーナッドの関係は壊れた。裏切られた気持ちは重い。アルタイルは今王になっても、その憎みと悲しみがまだ心の中に刻んでいる。
残酷な過去
許せないと思った事実
そして、ここでまた同じようなことが再現するか?!
バーナッドは前風王に振り向けて歩くと、土王の背中を見送るアルタイルは、何度もバリアを叩き、怒鳴る。
「ふざけんな!!!バリアをとけ!バーナッド!!何をする気!?とけ!!!!」
バーナッドはアルタイルの声を無視し、ゼファー前風王の前に跪いた。
「成長したな、バーナッド。ちゃんとけじめを付けるようになった」ゼファー前風王はバーナッドを褒めるように言ったが、声は冷たい。バーナッドは若い頃、なかなかアルタイルに力を遣えなかった。アルタイルを甘やかす者と言っても間違いではない。
土王は何も言わずにその言葉を聞くだけであった。
ゼファー前風王はバーナッドを見詰めながら、左手に風の剣が現れ、右手で剣を抜く。一万五千歳を超える割には、剣からの気配が半端ない。
前風王は抜かれた剣を跪いている土王の首に当て、質問する。
「『約束』覚えているか?」
「ええ。覚えております」バーナッドは首に死神が待っていることを恐れずに、即答した。
その時、バリアの外からゼファーとバーナッドの行動を見たアルタイルは叫ぶ。
「父上!!何をなさいますか!?やめ下さい。『約束』とは何ですか!?」
以前アルタイルは一度、父からこの『約束』について聞いた。だが、それは何かは聞いてなかった。
アルタイルの質問を答えるのは、ゼファー前風王であった。
「風帝国を渡した時に、君は与に一つの願いをした。風帝国はアルタイルが嫡子になるまでに預けるが、一つだけの『約束』をしてほしいと。それは・・・」
ゼファー前風王が話している途中で、アルタイルの顔に振り向き、見詰めながら言う。
「『何があっても、【アルタイルは自分が守る】。だから、安心して任せてほしい。もし失敗したら、どの罰でも受ける、命でも』という約束だった」
==7月8日更新==
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