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FATE【BL】
第22話 5頁
結局、アルタイル風王は出発するまでに眠れなかった。

ぐったり彼の手の中に眠ったアディスを寝室に連れた後、もう出発の時間が近付き、そのまま婚礼式のパレードと一緒水帝国へ向けた。


美しいパレードが海水の中に入り込み、アルタイルの力で巨大なシャボン玉のような空間が作られ、パレード全体が囲まれた。


海底における水帝国の街では海水が中に入れずに、造られた為、風帝国の人々でも、街に到着したら、力を使わずに、街の中に歩ける。


水帝国の市民が、風帝国からの婚礼パレードを見て、叫んだ。

「風王!カリナ姫!おめでとうございます!…」

祝福している言葉が水帝国に響いた。天馬に乗っている風王は、その祝福を聞き、心の底まで痛くなった。

もし明日自分が逃げることを想像してみたら・・・
長い間仲良くしている二つの帝国の関係が間違い無く滅ぼす。

そして、最愛の人であるレイサックはこの一生、彼を許せないであろう。

考え込んでいる時に、パレードが水竜殿の前で止まった。そこで、 お城の前に立っているのは、アルタイルがこの1ヶ月ずっと会いたかったレイサック水王である。


アルタイルは、レイサックを覗き、日の光を浴びていつもと変わらない美しい顔が、直ぐ彼に近づいた。

「アル。お疲れ。元気か?」水王は笑顔でアルタイルを迎える。

しかし、その嬉しそうな笑顔を見、風王の心が剣に刺されると同じ感じ。


レイサックが喜んでいるのは、「彼と会う」ではなく、「彼が来た」だから。

「うん。ロス僕は君と話したいことがある」アルタイルはずっと考えていたことを相談しようとした。


「式のことなら、心配しなくても良いよ。ここもちゃんと準備したから。僕が君と部下の部屋を用意した。さぁ、入って」レイサックはお城の中に入るように誘った。


答えを聞くと、レイサックは自分が式を中止したいということを全く考えていないと知った風王。

しかし、風王はもう時間を待てない。最悪の場合を覚悟した上で、最後の切り札を出した。

「僕はもう2800歳で姫の倍ぐらいだから、僕の弟アディスの方がカリナ姫に相応しいと思う。今回の婚礼式を延長した方が良いではないか?」

そう聞いたレイサックはアルタイルの案外な反応をする。


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あきゅろす。
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