FATE【BL】
第22話†花婿の憂鬱†
青色の大空には風帝国がある。
風の力が使え、風の魂を持っている王族は、エメラルドで造られた「風流殿」に住んでいる。
雲の上にある巨大な風流殿が、日の光を浴びてきらきらと輝いた。
水帝国の使者から、二週間前に報せが風帝国に届いた。
婚約者であるアルタイル風王と、カリナ水帝国の姫の婚礼式を承知されたという。
伝統的なやり方によると、女性側からの承知が必要ということである。
婚約された以来、いつ婚礼式が行われても、おかしくないが、突然の報せで風帝国の貴族、および、市民までも驚いた。
カリナ姫の美しさは、四帝国の中で有名で、その若さと可愛さは水帝国の誇りである。
気高く、美しい姫様を、風帝国の女風王になれるとは、風帝国の市民にとって、何より幸福なこと。
賑やかな風帝国の街が、もっと賑やかになり、街全体が祝福をしている。
賑やかな街と正反対の雰囲気。
それはアルタイル風王の気持ちである。
彼が風流殿から風景を眺め、深くため息を付いた。
使者から報せをもらった以降、風王がずっと自分を攻め続けた。
なぜレイサックに本当の気持ちを言ってしまったとか…
なぜ抑えることができなかったとか…
何度も後悔ばかりなことを繰り返していた。
婚礼式の承知が国賓室で読み上げられたときに、アルタイルは断ろうとした。
しかし、側近や貴族らからの殺到する祝福の言葉で囲まれ、風王は報せを受け取らざるを得なかった。
また、その場で風帝国お祝い担当の老人が、直ぐ婚礼式の担当に名乗りを上げた。
「我が王、わたくしにお任せ下さいませ。私の誇りと命をかけて、全力でご婚礼式を四帝国一にしてみせます!」老人は自信が満ちた声で話した。
「良かろう。あなたに任せる」今なにも考えたくない風王が老人に式の準備を丸投げし、自分はレイサックを連絡していた。
だが、いくら「話し合いたい」という手紙を送っても、水王からの返事はなかった。水帝国まで行ったとしても、結果は同じ。
「申し訳ございません。風王殿。現在王は取り込みちゅうでござる…おそらく今日はお会いできないと仰いましたが・・・…」ある水帝国の女官が非常に残念な顔で、風王に詫びを入れた。
レイサックはわざと自分と顔を会わせないようにしていることに気付き、アルタイルはその日諦め、風帝国に戻った。
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