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FATE【BL】
第31話 8頁
 「アル、なんでこんなことを!?」レイサックは地面に寝ている風王の身体を抱きしめながら聞く。


 「ロ・・・ロス、僕を聞い・・・て。アイツらを憎まなくても・・・い・・・い。全て僕・・・の・・・せ・・・いだ。ゲホ!ゲホ!」アルタイルは喘ぎながら説明している途中で、口から血を吐き、エメラルド色の風の鎧が血だらけになった。


 「アル、もうしゃべらないで!」レイサックは泣きそうな声で、親友を止める。アルタイルを見て、レイサックは以前チャナック前水王、レイサックの叔父上の死を思い出した。



 その時に、バーナッドはアルタイルとレイサックがいるところに近寄ってきた。


 親友が苦しんでいるのに、回復力ところか、動ける力さえ残っていないレイサックはバーナッドに言う。


 「お願いバーナッド。お前なら出来るはず!!アルを助けてくれ。お願いんだ!!!」レイサックは誇り等を捨てて、土王に願った。


 だが、バーナッドの反応は沈黙であった。



 その無反応に、レイサックはもっと慌てるようになり、力を遣おうとした。けれど、力を出そうとしたら、力が出なかったものの、痛みが全身に走った。


 「う・・・・」レイサックの苦痛をこらえるような声。



 アルタイルは最愛の人を見て、息切れしながらレイサックに言う。

 「やめて・・・僕はもう・・・たすけ・・・られな・・い」風王の顔はさっきより真っ白になってきた。


 「もう何も言わないで!!・・・誰か医者を呼べ!!!バーナッド、ラーカイン、誰でもいいから、アルを助けて!!!」レイサックは周りに叫びながら、両手がアルタイルの震えている手を握っている。



 遠く離れている兵たちは、レイサックの命令を聞いて動きがあったが、近くにいる土王と炎王にはたった見詰めているだけ。



バーナッドはアルタイルを助けたくないはずがない。

命を遣っても、愛しいアルタイルを救いたい。

だが、アルタイルは二つの巨大な大元素の力を一気に受けた。

自分と異なる大元素の力を激しく攻撃されたら、

力が強い王でさえ、命はあるまい。 


また、アルタイルの場合、水と炎、二つの力を受けた。

そのが正しく『死』に至るに違わぬ。

助けられるなら、助けたい。


 けれど、今土の力をアルタイルの身体に与えるのは、もはや、体内に混乱になっている三つの力を暴れさせ、愛しい者を苦しませるだけである。それで、バーナッドは力を遣わずに、ただアルタイルをひたすら見詰める。


 土王と同じような行動をしているのは、ラーカインである。炎王は、水王と風王がいる所に近付き、何も言わずに、ただ静かに見るだけである。



 「ロス、聞い・・・て。ゲホゲホ」アルタイルはもっと大量な血を吐き、レイサックの手を強く握った。


 「姫が自殺した・・・僕とバーナッドが・・・寝ているのを見たから・・・本当に・・・ご・・・めん・・・」風王はずっと守っていた秘密を語り、悔しい声で詫びをした。



 初耳だった事実で、レイサックは驚くのあまりに、言葉が出なかった。

 
 アルタイルはまた喘ぎながら、言い続ける。

 「僕は・・・卑怯者だ。早く君に言え・・・ば・・・・・・こんな戦争は・・・」アルタイルは自分を責める言葉を話す。


 「けど、僕はうれし・・・い・・んだ・・・。これで・・・姫の死を・・・償・・・える・・・。そし・・・て・・・ゲホゲホ!!」風王はもう一度血を吐き、息するだけで辛そうであった。


 「アル、もうやめて・・・」レイサックはアルタイルを止めた。けれど、風王は口の周りに血だらけになっている状態で話し続ける。


 「やっと、君・・・の腕・・・の中に・・・死・・・ね・・・・る」この言葉はアルタイルの最後の言葉であった。涙がエメラルドの瞳から落ちてくるとともに、レイサックの手を握っていた手も地面に落ちた。
 


 「アルルルルルルル!!!!!!!!!」レイサックは悲鳴を上げ、親友の名を叫び、魂が抜けた身体を抱きしめ、涙をこぼした。


==3月30日更新==

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