FATE【BL】
第31話 4頁
レイサックは風王と土王の突然に始まった戦いに少し驚いた。彼が親友に注意する。
「アル!気を付けろ!!姫の仇復讐してくれ!僕はコイツを始末する!」若水王は戦っている風王に告げた後、自分が目の前にいる炎王を睨み付ける。
アルタイルはレイサックが心配してくれるとは、嬉しく思った。だが、後半の言葉に彼の心を痛まれた。本当のカリナ姫の仇は、土王ではなく、彼であると考えるから。
それにしても、今ラーカインとレイサックの戦いを止めないといけないと思い、風王は必死にバーナッドから抜こうとする。
けれど、そう簡単にはいかない。
力強く、巨大な土の剣を軽く振り回し、一つ一つの無駄のない動き。土王は本気で風王と戦っている。
力と手腕の差が大きすぎるとアルタイルは、最初から分かっているが、風の剣を振り続ける。
レイサックの為に必死に戦い、また、自分の手で傷付けられてしまったアルタイルを見て、バーナッドの心の底が痛み、土王はある提案を述べる。
「そなたはあの若い水王を見守りたいでしょう?私が協力してあげましょうか?」バーナッドは剣を交えながら質問する。
レイサックのことがとても心配で、イライラしているアルタイルは即答する。
「何の話だ!?貴様は、また何を企んでいる?」風王は土王がいつも物事を予想して、計算していることを知っている。
「そなたはあの者を見守りたいと分かっています。もしそなたが大人しく見守れば、私は攻撃しません」バーナッドは今アルタイルの気持ちを見抜けたように、提案した。
風王は、二王を見守るだけではなく、彼の手でラーカインを殺したい。だが、炎王に届く前に、大きな壁がある。それがバーナッド土王である。
「そんな話信じられるもんか!?俺はお前を倒して、アイツをぶっ殺してやる!」アルタイルは拒んだ。子供の時に、バーナッドに裏切られたという思いは、彼の疑い深い心の根拠となっている。
アルタイルは言いながら、バーナッドに向かって、剣を振った。すると、土王は風王の手から剣を、風王の離れたところまで落とさせる。
「信じるかどうかはそなた次第です。但し、そなたがラークを攻撃しようとすれば、全力で止めます」バーナッドは真剣な声で最後の言葉を強調した。
アルタイルは戸惑った。彼の目的はラーカインを殺す。とはいえ、レイサックを守るのが第一である。土王と戦いが続けば、バーナッドに押し付けられ、レイサックからますます離れる所に行ってしまう。少なくとも見守るぐらいが出来ればとアルタイルは悩む。
戸惑っているアルタイルを覗き、バーナッドはもう一度聞く。
「どうしますか?このまま続けたかったら、もっと遠くまで、そなたを飛ばせても、そんなに難しいことではあるまい」土王はわざと風王を脅かせた。
「本当か?」アルタイルの否定した声はさっきより弱くなってきた。彼は自分がバーナッドに勝てる道がないと分かっており、また、最愛の人レイサックと炎王の戦いの方が心配である。
「ご覧ください。剣も何も持っていませんし」いつの間にかバーナッドの手の中には、土の剣がなくなった。土王は空っぽの掌を風王に見せた。
土王の態度を見たアルタイルは、意地悪い反論を言う。
「お前だったら、剣がなくても、俺を簡単に殺せるだろう?」
アルタイルの言葉は、バーナッドの心に傷を付けた。土王は怒りっぽい声で風王の結論を聞く。
「私はそなたにとって、信頼出来ない者ですね。私と一緒にあの二人の戦いを観察するか戦うか、自分で決めなさい」
風王は一瞬黙り込み、全ての状況を考え、決心を言い出した。
「分かった。今回だけお前の言葉を信じる」アルタイルは落ちた剣を呼び戻さずに、そのまま風の剣が消えた。
=3月22日更新==
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