FATE【BL】
第30話 5頁
「礼等は必要ありませぬ。そなたなら、私がなぜあの若水王を助けた理由を分かったはずです」
バーナッドはその言葉を受け取らなかった。彼にとってレイサックを治してあげたのはアルタイルの為からである。
ラーカインはやれやれと肩をくすめた。炎王は、土王の最大の目的は、風王のためと分かっている。
だが、それだけではない。アルタイルの為なら、わざわざ彼に報せてくれるフォアナックスを送る必要はなかった。バーナッドの『親友思い』性格は、ラーカインがよく分かっているから。
「さー、俺が言いたかっただけで、受け取るかどうかはお前次第だ。では、弦月の戦いの戦略を考えよう」炎王は話題を変え、近付く戦いの作戦の相談を取り上げる。
話し合いの結果、炎と土帝国同盟は、軍を三つに分けることにする。
前軍の大将はフェガー炎帝国の大将、
中軍の大将はラーカイン炎王とバーナッド土王、
援軍の大将はフォアナックス土帝国の大将である。
いつも後軍や援軍として参加していたバーナッドは中軍になるため、後軍を準備する必要がないと二王が判断した。
また、今回の戦いの目的は、相手の帝国を支配する権利を得る、又は、取り戻すということよりも、レイサックはラーカインとバーナッドを殺しに来ると言った方が正しい。すなわち、軍の力より、王の間の戦いは鍵となる。
一方、水と風帝国同盟は似ている作戦を企んでいる。軍が三つに分ける。
前軍の大将二人いる。一人は『ゲレル』風帝国の大将。ゲレルはゼファー前風王の時代から、風帝国の大将として任務された。手腕も力も上等である。もう一人はワーヤス水帝国の大将である。
続いて、中軍の大将は、レイサック水王とアルタイル風王、
援軍の大将は、まだアディス風帝国の王子、アルタイルの弟である。
レイサックとラーカインの話し合いでは、とりあえず、前軍で中軍まで付け込み、中軍にあるラーカインとバーナッドの首を切られれば、全てが終わると考える。
それで、後軍の必要がなくなる。王の首をとれば、援軍だけで自信が失った兵を潰すことは難しいことではない。
兵の人数は、どちらの同盟も五十万人ぐらいで、十万は前軍で、三十万は中軍、そして、十万は援軍である。
基本的に、元素の力が遣える兵とあまり遣えない兵が、各軍に分けられる。歩兵と騎兵二つのタイプがある。前軍はほぼ歩兵で、剣と矢で戦うことが多く、力が上手く遣える者は、その回復、攻撃、防御の支援になる。
戦いの準備とともに、時間が飛び、そして弦月の日の朝が明日にやってくる。
==第30話『開戦の鐘』 完了==
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