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FATE【BL】
第30話 3頁
 風王が一緒に参加するとレイサックに言った後、水と風帝国同盟は、炎と土帝国同盟に対し、開戦を決意した。翌日、炎帝国と土帝国に開戦宣告が送られた。


 いつか必ずこの日がやってくると分かっていたラーカイン炎王は、手の中に握っている一枚の開戦宣告を見詰める。目の前は、国賓室の中央に跪いている水帝国の使者。


 「貴様のチビ王に伝え!俺は待っている、ささっと来いッ!」泣いている子供さえも静かになる炎王の強い声で使者に告げた。



 一方、ほぼ同時に、もう一人の水帝国の使者が土帝国の土欄殿に着いた。バーナッドも開戦宣告を見詰めている。土王が少し後悔しているのは、もっとレイサックの身体に傷を残した方が良かった。

 
 無茶に水の魂を解放したばかりなのに、この短い時間で、これほど元気になったきっかけは、バーナッドの回復の力のおかげからである。


 
 水帝国の使者を答える前に、バーナッドは考え込む。彼は、アルタイルがおそらく今回いつも援軍として参加するのではなく、レイサックと一緒に中軍に参加すると推測する。アルタイルならば、レイサックを独りでラーカインを戦わせないはずとバーナッドが思う。そうであれば・・・



 「与はこの開戦宣告を受け取る。また、今回与はただの援軍として参加するのではなく、中軍として参加する。そなたの王に伝えると良い」バーナッドは冷静に水帝国の使者に言う。



 これで、『水と風帝国同盟』と、『炎と土帝国同盟」が正式に開戦することとなる。翌日、水帝国の使者は、再び敵の帝国に尋ね、別の報せを届ける。



 開戦する前に開戦宣告を送るのは、この四帝国の伝統。開戦宣告をもらった帝国は、断られる。戦争の形ではなく交渉という方法を選ぶこともできる。



 しかし、これまでの歴史上では、気高い心を持ち王たちが、開戦宣告をもらったら、全て受け取った。つまり、開戦宣告を送る必要性は、その開戦を受け取るかどうかというよりも、突然の攻撃ではなく、正々堂々と勝負せよと意味する。


 といっても、開戦宣告を送れば、戦略はその帝国の自由。各王と帝国によって違う。


 報せた後で、いつ開戦が始まるかどうか報せないで、いきなり相手の防御が弱いところを見抜いて、ゲリラ作戦をするか、又は、直接に突破するつもりの日程を教え、お互いに全力を尽くして戦うこと。



 今度の報せに書かれているのは、突破する日程と場所。日程は弦月、場所は水帝国と炎帝国の帝国境。だが、レイサックは、わざとのように前炎王と妃の墓から少し離れている方向を選択したと感じられる。


 二番目の報せは回答を待つ必要がなく、報せを届けると、水帝国の使者は直ぐに帰った。



 朝から内苑に散歩しているラーカインに、兵がその報せを渡した。ラーカインは、十日もかからない日程と、わざと王墓を避けるような戦場を選んだ内容を読み、紙をじっと睨めつける。



 「もし俺は自信があればか・・・ふふ。よく言った、レイサック」ラーカインは報せの中に挑発のような文章を読むと、鼻であしらう。



==3月11日更新==

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