[携帯モード] [URL送信]

FATE【BL】
第30話†開戦の鐘†
 解放の夜から次の夜を経ち、レイサックは丸一日眠っていた。そして、朝日が昇るとともに、若水王が目覚めた。


 まだ回復していないものの、せっかちなレイサックは水帝国の大将と貴族を呼び掛け、直ぐ戦争に関する会談を開く。



 最愛の人が目覚めたと報せられたときに、アルタイル風王は何も考えずに、レイサックの寝室に向ける。それにしても、開戦の会談を止めることに間に合わなかった。結局、風王もその会談に参加ざるを得なかった。


 水帝国側の会談では、最初にレイサックの水魂の解放は成功したことに盛り上がった。今生きている人々の中で、成人になっていないのに、大元素の魂が解放出来る人は、レイサックしかいない。


 その後、会談は開戦について話し合いが始めた。今回は炎帝国だけではなく、これまで炎帝国ー水帝国の戦争で、救援軍としてしか参加していなかった土帝国も正式な敵帝国となる。



 炎王と土王は如何に恐ろしい力を持っているか、水帝国の者は『処刑の日』と『力解放の夜』で、実感した。すなわち、勝てる目はないであろうと考えている。


 しかし、そうだからといって、尊敬しているカリナ姫の仇を復讐しないといけない。それで、厳しい状態を知った上で、貴族らも将官も開戦に賛成した。


 一方、アルタイルは出席したが、風王の開戦に対する意見はまだ誰も聞かなかった。その理由は会談している間に、風王はずっと黙って聞いており、また、水帝国の者はアルタイルが、カリナ姫の死を復讐する為に、必ず戦争に参加すると考えるからである。



 実際、アルタイルは自分のせいで問題は拡大し、早めに事実を教えれば、レイサックも大変な目に合わなかったと思っている。風王は会談が終わったら、全ての事実をレイサックに伝えると決めた。



 レイサックの水王にとっての『開戦についての初会談』が無事に終了し、アルタイルはレイサックを、一緒に散歩しようと誘った。アルタイルはわざとこれまでレイサックを見守っていた園亭を避け、他の内苑を選んだ。



 巨大な水竜殿の中では、内苑だけで十五ヶ所もある。其々は特徴を持っており、今回二王が散歩しにきた内苑は、誰もここは海底と思わないぐらい、日当たりが良く、穏やかな風が吹き、芝生が緑色で水竜殿の青いと似合っている。


 
 二王きりで話したいというアルタイルからの依頼で、レイサックは他の人をその内苑に近寄らないと命じた。


==3月7日更新==

[*前へ][次へ#]

2/68ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!