[携帯モード] [URL送信]

FATE【BL】
第23話 7頁
バーナッドの唇はアルタイルの胸から首に這わした。

「『貴様』ではありせぬ。前のように『バス兄上』と呼んで、私の『アル』」

優しい声で囁いた。昔のように…


アルタイルにあだ名を付けられたのは、他の誰でもなく、バーナッドであった。生まれたばかりのアルタイルを抱き締めた瞬間に「アル」と言い出したのは土王の王子。二人の間の絆は深かく、複雑である。


レイサックと出会ってから、アルタイルは、若水帝国の王子に愛をあげ、レイサック一筋に生きてきた。それで、バーナッドに対する憎しみは少しずつ彼の心からなくなった。


 土帝国の帝国は最大の敵である。でも、それはバーナッドに対する恨みではない。

 しかし、その囁きにより、アルタイルのこの一生忘れたい過去のことを思い出させられた。


 父上であるゼファー前風王が幼い自分を庇う為に怪我させられ、風帝国が土帝国の植民地になり、誇りに思っている父上がこのモノの前に土下座させられたという過去の映像が、昨日に起こったように頭に浮かんだ。



 アルタイルは溢れ出した快感に負け、我慢の壁が崩壊し、射精するとともに、バーナッドに対する気持ちが全て戻った。

 恨み、憎しみ、悔しさ、怒り、そして、一生の『敵』である。



アルタイルは、目の前に嬉しそうに濡れている手を舐めているバーナッドを睨み付け、息を切らしながら言う。

「誰が言う!裏切りモノ!今更、あんなことを言いやがって、俺を放せ!!」

アルタイルは全力でバーナッドを突き、風王が解放されたもので気を抜かれたバーナッドからやっと離れられた。


だが、風の力が使えない風王には、ベッドを降りろうとした途端に、素早いバーナッドに掴まれ、ベッドの中央に連れ戻し、身体を伏せさせる。

「甘いですね。私から逃げられると思いますか?私のモノになって下さい。アル」最後の言葉が真剣な声で、バーナッドが微笑み、押しつけているアルタイルの首すじに口付けた。


首すじに愛撫されたアルタイルは少し震えた。

「さ…触るな」若干弱くなった拒む声。

バーナッドはその変化を感じ、後ろから耳を軽く噛み、そして、耳から背中までを舐めてあげる。


柔らかくぬるい舌で舐められたアルタイルが全身再び震えた。


「やはりこの辺が敏感ですね。昔から耳元にキスしたら、くすぐったいって、そなたがいつも言いました。覚えていますか?」


土王が昔の事を話ながら、風王の背中に口づけ跡を残させる。


「昔話はよせ!!裏切りモノには触られたくない!俺はロスの所へ…う…う」

水王の名前を言うと、激しく口づけられ、言葉が言えなくなった。

風王が息する暇が無いぐらい口中に、バーナッドの舌が暴れる。

伏せられたアルタイルは逃げられなく、暴れられなく、全て襲撃を受け取るしかなかった。


さっき敏感な所に愛撫されたせいで、バーナッドの激しい口づけは、アルタイルの快感を沸き上がらせる。

「他の者の名前はやめなさい。私だけを見て、アル」バーナッドが口づけながら、嫉妬深い声で呟く。

[*前へ][次へ#]

15/34ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!