FATE【BL】
第23話 4頁
喉が痛い…
身体がだるい…
動けない…
苦しい…
毒はアルタイルの身体に広がった。バーナッドが言った通り、時間とともに、辛さが少しずつ軽くなってきた。
バーナッドの質問を聞き、アルタイルは声を出してみた。
「キ…キ…サマ…ゲホゲホ」声少し戻ったが、完全ではない。更に、身体に力がまだ入らない状態。
アルタイルのエメラルド色の瞳に睨まれ、バーナッドは相手の苦しさが収まったと分かり、笑顔になった。
「少しは楽になったでしょう?そなたは声が出せないと、こちらの方が困りますから」
土王は冷笑し、毒の効果が思い通りであった。
「バーナッド、俺に毒を飲ませられ、貴様何をするつもり?」
ようやく声が普通に出せるようになったアルタイルは寝たまま、相手の狙いを聞いた。
「答えは簡単です。そなたを抱く為です。言っておきますが、この毒は媚薬とか入っていませぬ。ご安心下さい。そなたを気持ちよくさせるのは『私』の役目ですから」
普通の声で答えたバーナッドだが、その明確な狙いを聞いたアルタイルは非常に驚いた。
「貴様、血迷ったか!?」アルタイルは大きい声で怒鳴った。
アルタイルの質問に対し、バーナッドは風王が着ている緑色の服を破った。
「決心しました。今日何であれ、そなたを抱きます。私はどのぐらいこの日を待っていたのか分かりますか?」
質問しながら首に軽く口付け、小さな口付け痕を残させた。
「分からん!!やめろ!!俺はロスの所へ行く!」アルタイルはレイサックのところへ行く意志を言い出し、振り払おうとしたが、身体は思うように動けない。
風王はもう毒で苦しくなくなった。ただ、身体に力が入らないと風の力が遣えない。
普段、毒が飲ませられなくても、このようにバーナッドに押し付けられれば、全力を遣っても逃げられないかもしれない。
だが、今の状態ならば、逃げるというより、動けるさえできない。
バーナッドは、レイサックの所へ行きたいと怒鳴ったアルタイルを見詰めた。
「ずっと見守ってあげようと思いました。一生手出さぬつもりです。しかし、そなたがあの若水王を自分の命より大切にし、誰よりも愛していることは分かります。今回の婚礼式も、簡単に否定できたのに、あの者の為に、そなたが断りませぬ。それを見た私はもう耐えられぬ!!」
バーナッドは悔しそうな顔で怒鳴り、アルタイルに口づけする。
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