FATE【BL】
第25話 12頁
*〜PS.FATE[番外編]:風王の幼い【完】を読んでから、読んだ方がもっと理解しやすくなると思います〜*
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木の陰から歩き出した短い紫紺色の髪と藤色の瞳を持っている土帝国の大将。彼の表情はいつもと違って暗く見える。
大将はバーナッドの近くに跪き、土王から立ても良いという合図をもらい、隣に立ちながら顔は俯き、主から目を逸らした。
金色の鎧甲を着ている年上の大将の変な様子を見て、バーナッドは詫びを言おうとする。
「さっき酷いことを言って、すま・・・・」だが、詫びの言葉が最後まで言える前に、フォアナックスの声が割り込んだ。
「一つ伺いたいことがあります!王は炎王がお助けになることは前からご存知でしたか?」土帝国の大将は俯いたまま質問した。
バーナッドは少し不思議な顔をし、素直に答える。
「ラークのこと?知らなかったよ。そこまでやってくれたとは驚いたかもしれぬ」笑いながら楽観的に答えた土王。
その時・・・
パツ!!
土帝国の大将が右手でバーナッドの頬を叩いた!
「もっとご自分を大切にして下さい!!」顔を叩いた後に、ずっと俯いたままのフォアナックスが、バーナッドを見詰め、彼に向けて怒鳴った。
思わぬことに、土王は言葉を失い、痛みより驚きである。紫水晶色の瞳が大きく開いた。一方、土帝国の大将が怒鳴り続ける。
「あなたがあの場で亡くなったら、わたくしはどんなふうに、亡くなった前々王と前王に、顔合わせすれば良いのか、分かりません!また、生まれたばかりの子供に帝国の将来を任せるなんて、無責任です!もっとご自分の立場を理解なさって下さい!!!」
フォアナックスは、バーナッドが簡単に死刑を受け取ることを認められなく、激怒した。土帝国の大将は再びバーナッドの足元に跪き、黒いガウンを握り、キスする。
「それに、私はあなた以外他の王のもとには、忠実を誓うすることは出来ません。私の王はバーナッド様、あなただけです!」
フォアナックスは跪いていたまま、バーナッドを見詰め、自分の主はバーナッド以外誰でも認められないということを強調した。
土帝国の大将は、ディバー前々土王・・・バーナッドの父上から、短期間で土王になったバーリウス前土王・・・バーナッドの兄上まで、ずっと土帝国の副大将として務めていた。
凡そ2500年前に、バーナッドが王位を継承した時、ディバー前々土王の死の謎で、その時代の土帝国の大将が引退し、新しい大将を探しているところで、バーナッドの兄上であるバーリウスが、前風王に殺害され、結局新しい大将を選択することは、バーナッドの責任になった。
その時、バーナッドが選んだのは、今のフォアナックス大将である。同じ時期の中に、他の副大将の候補も7人いる。1万歳未満という一番若い副大将で、一番経験が少ないフォアナックスを選んだことで、土王になったばかりのバーナッドも、貴族や側近らから酷く批判された。
しかし、バーナッドは動揺していなかった。フォアナックスを選んだことを確信し、そのまま彼を大将にならせ、自分の一番近い側近となった。
・・・・・・それはバーナッドが王になったばかりの時・・・・
その日も・・・確かにこの内苑であった・・・
===12月2日更新===
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