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FATE【BL】
第25話 11頁
ラーカインはバーナッドの礼に対し、首を横に振って否定した。

「堅苦しい礼は要らん。実は、俺がお前を救えば、アルタイルめは邪魔ものにならなくなるし。それに、お前はあの小さな姫を殺したと思わないから。それだけだ」

炎王は自分にも利益があるからと説明した。また、彼がよく知っている冷静な土王は、必要以上に誰を殺すことはしない。


質問に対しバーナッドが、自分の罪悪感を感じるように、その日のことを語る。

「自分で殺害したかどうかは問題ではあるまい。彼女が部屋に入れましたことは私の誤りでした」


その後、カリナ姫が突然部屋に入り、風の剣で自殺し、後に追い付けた侍女のことまで、バーナッドは全部ラーカインに話した。


また、バーナッドは、若い姫が首を斬った時に、直ぐ力で治れば、助けられるかもしれないが、していなかったことに自分を責めた。

「彼女が見てはいけないモノを見てしまいました。その侍女も同じです」
 強大な力を持ちながら、優しい心を持っている土王が悲しそうな顔で話した。


炎王は親友の肩を叩き、言う。

「自分のせいにするんな。あの姫、アルタイルめの剣で首を斬ったとさっき言ったんだろう?あれは即死だ。いくらお前でも助けられん」相手の最悪感を慰めようとしたラーカイン。


 それはけっして事実である。王の剣は各大元素の力を持っている。自分と別の元素の力の襲撃を防御せずに受ければ、死に至る怪我になる。カリナ姫は水帝国の王族であり、力を持っていない姫が風の剣に斬られれば、助けられる可能性はない。
 

 それで、大元素の魂を持っている者、つまり、「王」の存在はこの神世界には大きく、「王」の相手になれるには「王」しかいないからである。

 バーナッドはその意見に何も答えず、黙り込んだままである。


 一方、ラーカインはカリナ姫の顔を思い出すと、他の似ている顔が頭の中に浮かんだ・・・レイサック水王。自分が裏切られたと思い、美しく悔しい顔は、今でも炎王の頭から離れない。


 「結局アルタイルめはレイサックを手に入れた!シッ。しばらく預かるだけだ!」ラーカインは歯を食いしばりながら、最後にアルタイルとの睨み合わせた瞬間を思い出た。

 炎王の言葉にバーナッドはもう一つの最悪感を感じた。

 「すみません。ラーク。そなたとあの若い水王は、いい調子になりましたのに。私のせいでまた・・・」土王は再び詫びを言い出た。

 「いや、そんなことお前心配しなくても良い。俺はなんとかする」と答えたラーカインだが、自分がやったことを思い出し、深いため息を付いた。今更後悔しても仕方がないことである。


 親友の様子を見たバーナッドは、レイサックの若さと短気なことから考え、これからの行動を推測し、質問した。

 「もしレイサックが宣戦を布告したら、どうしますか?あの若水王はやると思います」

 バーナッドが知りたいことは、レイサックの方より、親友の対応はどうするかということである。

 「その時はその時だ・・・戦いたいなら戦ってあげる。もう用が済んだから、帰る。じゃな、バス」ラーカインは答えたら、土王の反応などを聞かずに、すぐその場から去った。


 「そなたでも悩んでいるようですね。ラーク」いきなり帰った炎王に、バーナッドは深いため息を付いた。

 
 バーナッドは着ている血だらけの若紫のガウンを見詰め、一瞬でいつも通りの黒いガウンに変わった。着替えの後に、土王が呟く。

 「フォアナックス、そこに居るだろう」他に誰も居ないはずの内苑に、バーナッドは土帝国の大将の名前を呼んだ。

 「はい。王」いつものように地面から出るのではなく、内苑にある大きな木の陰から歩き出した中高年の土帝国の大将。


===11月30日更新===

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