FATE【BL】
第25話 9頁
ドン!!!
水の剣を持ち、空中に浮かんでいるレイサックが、炎の剣から出た赤い光に攻撃され、ラーカインが立っている所までに行けず、途中で広場の地面に落ち、気を失った。
そのせいで、レイサックは、ラーカインの一瞬現れた切ない表情が見られなかった。
だが、落ちたレイサックの所に飛び出したアルタイルは、その表情を目撃した。
切なく悲しい炎色の瞳。
ラーカインはアルタイルに見られたことに気付き、表情を直ぐもとに戻り、相手を睨み付ける。
同じ者を愛しく思っている二王は、お互いに負けないほど怒りと嫉妬に満ちた視線で睨み合った。
一方、自分の王が攻撃されたのを見た、水帝国の大将と兵たちは、レイサックが気絶している周りを守る。百人以上の兵が一気に、ラーカインとバーナッドがいる広場の中央に進む。
しかし、兵が入った時に炎王と土王のが、中央の広場から姿がだんだんなくなった。
残っているのは、水帝国を軽蔑する言葉だけ。ラーカインの声が広場に響く。
「愚かなものめ!貴様らが全員攻撃しても、俺に絶対勝てるまい!貴様らは俺の植民地!自分たちの立場を忘れんな!!」
最後に残った炎王の言葉と嘲笑い。
広場は沈黙になった。市民たちが炎王の強さを始めて実感したと同時に、自分たちの誇りに酷く傷つけられた。
黙り込んでいる市民と側近たちの意識を取り戻したのは、アルタイル風王であった。
「ワーヤス大将、市民のこと任せる。他の側近に姫の葬儀を準備しておくと伝えろ。俺はロスを先に水竜殿に戻る」
風王は水王の代わりに大将を命じ、アルタイルにとって、今他のことより、レイサックの手当てをすることは一番大事。
「御意。私の部下をお供いたします」ワーヤスは頷き、アルタイルの命令を受け、部下を呼ぼうとする。
「要らぬ。自分で行ける」アルタイルは大将を拒んだ。
形の良い身体が、細い身体を抱き上げ、広場から姿がなくなった。
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