FATE【BL】
第25話 8頁
「貴様がバスを殺す権利は無い!」ラーカインはもっと大きい声で答えた。
レイサックがラーカインに『貴様』と呼ばれるのは久しぶりで、なぜかそう聞いただけで、水王の心が痛んだ。
「何だと!?説明しろ!」レイサックは怒鳴った。
「俺ラーカイン炎王。水帝国の本当の主は許可をあげていないからだ。それに、俺は此処でバスの処刑が、『無効』と判ずる」ラーカインは自分が水帝国の主だと名乗り、新たな判決を言い出した。
その意外な説明を聞いたアルタイルも驚き、中央にいるラーカインとバーナッドを見詰めた。
ラーカインが告げた事実は、レイサックに水帝国が炎帝国の植民地だと気付かせた。バーナッドの無効判決を聞いた水と風帝国市民と貴族らは、騒がしくなった。
無論、レイサックはそれを納得出来るはずがない。
「オレは絶対認めない!今日どうせバーナッドを執行してやる!!」水王は貴賓席から中央に飛び、水の剣を出し、ラーカインの隣に跪いている土王を狙う。
「ロス!!待って!!」アルタイルは怒りで飛び出した最愛の人を止めたが、レイサックは聞かなかった。
水の剣がバーナッドを刺す前に、ラーカインは炎の剣で、レイサックの攻撃を防御する。
「どけ!!ラーカイン!!」激怒しているレイサックはラーカインに叫んだ。
水と炎の剣がぶつかり合った時に、ラーカインは微笑み、掌から赤の力でレイサックを襲撃した。防御していない水王の身体が、広場の中央から一階の客席に飛ばし、立てられない状態である。
「貴様が俺を止める権利は無い!捕虜の王よ!もう忘れたのか!?貴様はただ俺の捕虜しかない!まず自分の帝国でも取り戻してみせろよ!」ラーカインは、寝ているレイサックを軽蔑しながら、嘲笑った。
レイサックは、初めに会った時のラーカインの姿が蘇ったように感じ、胸が非常に痛くなってきた。
何回も暖かさをくれた者から、自分の市民の前で見下され、誇りに酷く傷つけられた。その悔しさと悲しみで、レイサックは再び立ち上がり、剣を握り、広場の中央に飛んだ。
今回の狙いはバーナッド土王ではなく、ラーカイン炎王である。
===11月26日更新===
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