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FATE【BL】
第25話 5頁
 突然現れた侵入者に皆が広場の中央に注目し、誰もアルタイルが立ち上がったところに気付かなかった。

 「待て!貴様らは我が王を執行する権利はございませぬ!」金色の鎧兜を付けている中高年の騎士が恐れずに、水王に向けて叫んだ。

 「貴様は誰?!」無礼な行動に怒ったレイサックは侵入物に問いかけた。

 「私はフォアナックス、土帝国の大将。初めてお目にかかりました。レイサック新水王」土帝国の大将は自分の正体を隠せず、答えた。


 レイサックは、フォアナックスが気絶していた自分と、怪我していたワーヤス大将を、水帝国に連れ戻ったことを知らなかった。

 フォアナックスもワーヤス大将との約束を守り、レイサックと初対面のように話した。


 土帝国の大将の突然な侵入に、ワーヤス大将はレイサックの隣から広場の中央に飛び出し、剣を握っている。同じように、フォアナックスも剣を出した。


 「意味の無い行動だ、やめた方が良い!水王として、貴様の王を処刑する権利は十分ある!」レイサックは二人の大将が戦う前にフォアナックスに告げた。

 「笑わせないでくださいませ。水帝国のような弱い帝国に、我が王が処刑を執行されて、たまるものではあるまい!」土帝国の大将は水帝国を見下した。

 それが故に、ワーヤス大将は土帝国の大将に向け、剣を刺す。もちろん、フォアナックスは上手に防御した。上等な二人が大争いになる前に、跪いたバーナッドは自分の部下を止めた。

 「引け、フォアナックス」死が前に待っているものの、土王の声はいつものように力強い声である。

 命令を聞いた土帝国の大将はすぐ剣を止めた。同時に、それを見たワーヤス水帝国の大将も剣をおろした。

 「しかし、王!私はこんな者に王を殺させませぬ!」土帝国の大将はバーナッドの隣に跪き、願った。
 
 「命令だ。帰れ。今後のことそなたに任せる。確かに200年前に生まれた父上の親戚の息子は、『土の魂』を持っているはずだ。彼は次の土王になる。これは与の最後の命令だと皆に伝えて、分かるか?」最後の真剣な命令を言い出したバーナッド。

 「御・・・意・・・しかし、王・・・」フォアナックスは命令に逆らえず、頷いたが、納得できない大将は再び拒もうとした。

 「もう良い。帰れ。もしかしたら、与の首が斬られるところを近く見たいなら、居ても良い」土王は不機嫌そうな声で、ずっと一緒に戦っていた側近に言う。

 バーナッドにとって、フォアナックスは一番信頼できる部下。自分が死んだ後の新土王の力になれるため、ここで命を捨ててはいけないと考える。

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