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FATE【BL】
第25話 4頁
その夜、アルタイル風王と同じように、寝室の中で考え込んでいるのは、また二王居る。


一王は、レイサック水王。大切な妹を突然失ったことが納得出来ない。可愛い妹の残酷な最後。血まみれな身体と冷たい肌。チャナック前水王の次にカリナ姫。レイサックの家族はもうこの世には居ない。

水竜殿に住んでいない血も繋がらない親戚はいるが、会ったこともない人に相談することができるわけない。水王は耐えられないぐらい淋しい。

 特に、今夜この水竜殿に泊っている炎王は来ていない。最近レイサックの身体はラーカインを欲しがっており、心の何処かに炎王が来ると期待していた。ラーカインからもらった激しさと暖かさは身体全体が覚えている。

一方、炎王は自分の寝室の中に、ずっと窓の外を眺めている。ルビー色の瞳は真剣で、明日のことを考えている。

 結局、夜明けがやってきた時に、四王は誰一人も目を閉じることが出来なかった。



 太陽が空に昇り、レイサック、アルタイル、ラーカイン、三王は各帝国の鎧を付けている。金色の鎧だが、青、緑、赤という水、風、炎・・・三つの大元素の色が混ざっており、太陽の下に輝いた。


 バーナッド土王は、昨日着た血だらけの若紫のガウンのままで、水竜殿の正門から水帝国の広場まで歩き出す。手には封印手錠、足には封印鎖。それでも強大な力を持っている土王を抑えられない可能性はある。

 それで、ワーヤス水帝国の大将と百人の兵の上に、三王は一緒に広場まで歩くことになる。


 広場へ行く道は、水帝国の街を通さなければならない。水帝国の市民は、血だらけの土王を睨みながら、呪の言葉を叫ぶ。しかし、その呪を聞いても、バーナッドは相変わらず冷静で、落ち付いた姿で、広場へと進む。



 水帝国の広場は、屋根がない円形大演技場で真ん中は処刑を執行場となる。つまり、市民の目の前で、土王の首を斬ること。

 一階から五階まで観客席は、水帝国と風帝国の市民でいっぱいになり、貴賓席に三王が到着したら、裁判長は広場の中央に現れた。バーナッドは広場の中央に連れられ、貴賓席を向け、跪かせられる前に自分で跪いた。


 裁判長がもう一度全て土王の罪を言い出し、処刑の執行を説明する。あくまでもバーナッド土王は王であり、斬られた首は地面まで落ちないように、金色の首置きを使い、首を土帝国に送るという伝統的な王の処刑のやり方である。

 裁判長の説明が終わった時に、太陽はもうすぐ空の真ん中に至る。つまり、処刑の時間が来る。

 レイサックは執行人を呼び出し、後はレイサックの合図を聞いたら、処刑が行われる。


 執行人を見たアルタイル風王は、席から立ち上がった。と同時に、広場の中央の地面からある人が現れた。


===11月22日更新===

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あきゅろす。
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