FATE【BL】
第25話 3頁
理由を聞いてずっと床に座っていたバーナッドは立ち上がり、鉄棒の前に歩く。土王とアルタイルの距離が縮み、彼は愛している風王の輝くエメラルドの瞳を見詰めながら話す。
「『そなた』の為ではありませぬ。『私』の為です。前夜のことはご心配なさらずに、全て私と一緒に永遠に眠らせます。さて、もうすぐ警備兵が見回りに来るはずです。見付かる前に早く帰った方が身の為です」
バーナッドはアルタイルの説得を全て拒み、全ての罪を受け取るつもりである。
「オレより自分のことを心配しろ!」風王は告げた。
今何も決められぬアルタイルは、とりあえず寝室に戻り、独りで考えると思い、封印牢から離れようとし、廊下に振り向く。
その時、バーナッドは鉄棒の隙間から腕を突き入れ、風王の身体を鉄棒に引き寄せ、強く抱きしめた。封印牢の鉄棒に触られたアルタイルも、土王と同じように力が遣えなくなった。
土の力が封印されても、体力はまだ遣えるバーナッドの強引な両腕から、アルタイルは振り払えない。
「何をす・・・・」アルタイルは叱る前に、口が塞がれた。恋しく激しい口づけ。前夜からの風王の身体の熱が再び湧き上がり、振り払っている手に力が入らなくなり、そのまま口付けを受けた。
バーナッドはアルタイルの顔と金髪を愛しく触った後、口から離れ、相手の耳元に囁く。
「さようなら・・・ア・ル・」最後は自ら生まれたばかりのアルタイルに付けたあだ名を呼び、土王はアルタイルの身体を放し、さっき座っていたところに戻った。
そして、最初アルタイルが入った時と変わらず、目を閉じたまま床に座り込んだ。その後いくらアルタイルに呼ばれても、土王は無反応であった。
どすれば良いか分からないアルタイルは、警備兵の足音が聞こえた。
見付からないように、封印牢から廊下の中央に向け、身体を風に変え、その場から去り、前より複雑な気持ちで寝室に戻った。
===11月20日更新===
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