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FATE【BL】
第23話 2頁
 突然寝室に現れたバーナッド。侵入者にもかかわらず、アルタイルより落ち付いている様子。


「あの若水王レイサックに会いに行くつもりですか?」バーナッド土王はアルタイルに問い掛け、ゆっくりと風王に近づく。


「バーナッド!!なぜここに!?」アルタイルは答えずに、土王の登場に驚いた。


この寝室は水帝国の水竜殿の中。水の力で侵入者から守られている。

ただ、バーナッドのような強大な力を持っている者ならば、忍び込むことは難しいことではない。


逞しい身体が近ければ近いほど、アルタイルは不安と感じ、徐々に後ろに下がり、背中が開けない扉に当たった。


バーナッドはアルタイルの質問を無視し、話し続けた。


「今夜はそなたとカリナ姫の婚礼式の前夜。アルタイル、そなたが婚礼式を承知すると思いませぬ。想定外です」土王の表情は一瞬悲しそうに見えた。

 確かにレイサックのことが無ければ、アルタイルは気楽にこの婚礼式を否定できたはず。


「お前には関係ない!この扉はお前の仕業だろう?早く封印を切れ!!俺はロスに会いに行く」アルタイルはバーナッドに向けて、叫んだ。エメラルド色の瞳が土王を睨む。


「この扉は太陽が昇るまで開けぬ。レイサックと会えて、そなたは何が出来ますか?今さら、レイサックを自分のモノにしても、もう手遅れです。アルタイル」

 冷静に説明した上に、嘲笑った土王。

 バーナッドの態度を見たアルタイルは自分が見下されたと感じ、土王に忠告する。

「言ったはず。お前には関係ない!そして、お前はここにいるとは規則違反だ。炎帝国での恩返しとして、見えないことにする。早く出て行け!」

 アルタイルはただ早くレイサックの所に行きたい。他のことはもう考えたくない。


「そなたはあの若水王の心を決して手に入れぬ。彼の心は誰のモノかそなたが、もう知っているはずです」


 バーナッドはレイサックとラーカインの関係を知っているように話し、風王を自覚させた。


 それを聞いたアルタイルは事実を認められなくて、頭が混乱し、バーナッドに怒鳴る。


「黙れ!早く出ていけ!」

 しかし、バーナッドは目を閉じ、一つため息をつき、紫色の瞳は真っ直ぐアルタイルを見詰めた。

「私とラークは婚礼式に招待されて、規則正しく水帝国に入りました。よって、侵入者ではありませぬ。今夜何があっても、そなたはこの部屋から一歩も出させませぬ」鋭い目と真剣な声で話したバーナッド。


 「そうさせるもんか!」アルタイルの掌に緑色の力が現れ、バーナッドを襲撃した。


 すると、土王は簡単にその力を右手で受け止めた。

一方、バーナッドは強引な力で扉の前から引っ張られ、ベッドの上に飛ばされた。

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あきゅろす。
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