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椿を手折る炎
椿を手折る炎@

※黒幸村注意報
※忍してる佐助
※色々と酷い暴力と裏
※流血と微グロ

※暗い
※原作設定をスルー

15禁

以上が駄目そうな方は、お逃げ下さいませ。




大丈夫ですか?


………


……




月が、雲に隠された

「アンタさ、恩を仇で返すって言葉知ってる?」

佐助が、冷たい殺気をはらんだ目で見下してくる。目下には武田信玄付きの小姓ーーーつまり、私が彼の術によって畳に這いつくばっていた。

ーー昨日は、あんなに優しくしてくれたのに。

けど、こうなった理由は私にある。私は大きな罪を犯した。皆がお館様と称すあのお方に。


毒を盛ったのだ。





「拾ってきた真田の旦那の気も知らないでさぁ……
アンタが女って事を隠してまで、武田に置いてやってたのに。何やってんだか…」

少なからず、良心が削られて行く。しかし裏切ったつもりはない。
最初から、私は彼らの敵だった。


「これで、殺してくれるの?」


震えながら、歓喜した私の声に。佐助は冷笑を零した。

「…お望み通りにしてやりたいけどさ、生憎真田の旦那が、」


そこまで言って、佐助は振り返った。静かに開け放たれた襖は、真田幸村の手によって『みしり』と音をたてた。

「…佐助、後は俺がやる」


「…了解」


佐助は、ちらりと『憐れみ』のような感情を私に寄越したが、幸村の視線に気が付いたか否か。音も無く消えた。


「…幸村は、殺してくれる?」

「そなたを、というのならば…否、と答えよう」

いつもの凛々しいような、炎のような煌めきを持つ笑顔は。
闇夜に、命を絡めとるーー黒い炎のような禍々しいものに見えた。


たくましい腕が、私の首に伸びてきた。

「…ぃ、」

指が食い込むように、喉を圧迫していく。
幸村は静かに、囁いた。


「死より辛き、生を与えよう。欲しがるモノなどやらぬ。羽根をもいでーー籠の中で飼ってやろう。…俺の気が済むまで」



私が目を見開くと、幸村は悲しげに微笑んでいた。涙さえ流さない彼は。

「お館様…」

と呟いた。




つづきます。

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