BSR倉庫
お月見ネタ(幸村)
【厨房】
「あれ、何作ってんの姫さん」
「あ、おかえりー佐助!」
咲耶は、水と粉にまみれていた。
「いま月見団子、を…」
ダダダダダダッ(勢い良く廊下を走る音)
「今、団子と申されましたか咲耶どのぉおおっ!」
幸村が瞳を輝かせて、厨房にやってきた。佐助は苦笑いしている。
「ほら、姫さんが月見団子作ってるんだってさ。
旦那は汚すだけなんだから、
退散退散〜〜」
「ぐ、しかしぃ…」
「ユッキー、大丈夫!
佐助が手伝ってくれるから!
頼りにしてるよ、佐助!」
「え、強制労働!?」
私と佐助がそんなやり取りをしているとーー「某も、団子作りに参加したいと思う!」
何故か、私と佐助の間に立ち。高々と宣言する幸村。
「え…なんで」
「何故と申されるか!この幸村、武芸だけではなき所を是非とも咲耶どのにお見せしたく…!」
「…あ、そーゆーことか旦那…。
わかったわかった!
じゃあ3人で作ってみようか?」
いつの間にか、割烹着を着だした佐助と幸村にーー。
「大丈夫かな…」
一抹の不安を覚えた。
*****
そして案の定。
咲耶「よし、まずは粉をーー」
幸「ふるう、でござるな!
う、おぉおーーっ!」
佐「あぁあ、真っ白に…」
咲耶「…げふげふ。
じゃあ次は、水を入れ…」
幸「水!わかり申した!」
バッシャアァア!(ひと桶分)
佐「はは、跳ね返った水でびしょびしょだな〜」
咲耶「…へくちっ!
なんか寒い…?ま、いいや。
後は、蒸し上げるために火を」
幸「火!この幸村、装備している武器の属性たるや火なればぁあっ!
ごらんあれぇえ」
バキッ(武器が折られた音)
佐「わ、姫さん鬼みたいな顔しt」
咲耶は、目から青い光を発しながら笑った。
咲耶「…役立たずは、海へと、帰りなさい?」
震え上がる真田主従に。
咲耶はにっこりと笑う。(絶対零度)
*****
【その夜】
武田軍のみんなに、月見団子と酒を振る舞った。
結局、武田に使える武士の奥さんたちが手伝ってくれて、
なんとか夜までにできたのだ。
「…あれ、ユッキーがいない」
飛びついて来ると思って多めに作ったのに…
あの、真っ赤な衣装の幸村を探していると…佐助がやってきて、
「旦那なら、お館様の部屋だよ。…行ってあげな?」
と、私の背を押してくれた。
*****
【病室】
病室の前まで来ると、幸村らしきすすり泣きが聴こえた。
「お館様…、叱って、下され…っ」
病人相手に何を相談するのやら、そんな好奇心で聞き耳を立てる。
「咲耶どのに、頼られるような者になるには…どのように修行すればいいのでござろうか…。
政宗殿は、その…武芸だけでなく、能も、料理も達者だと聞き及んでおりますが…、
某には、なにひとつ…戦ごとすら、ままなりませぬ…
それに」「長いわボケェエェェッ!!」
「…咲耶、どの」
「あ、病室だった。…静かに、静かに……
くよくよするでないわ、幸村ぁあぁあっ!」
サッ、と団子と酒を床に置いて。
長い御盆で、幸村の顔を強打する。
…兄神よ、我に力をォォオ!
「ひでぶっっ!!?」
何やら、神力が発動したらしい。幸村は弧を描いて、庭を飛びーー庭石にめり込んだ。
「咲耶どの…!?咲耶どのは戦闘民族にあらせられt」「尻尾は無いよ!」「切られたのでごz」「龍玉の話引っ張るな!」
岩にめり込んだ幸村を覗き込んでやると、
幸村は拗ねたようにそっぽを向いた。
「…お聞きになっていたのでござるな」
「聞いてたよ!くよくよして、
そんなんじゃ、お館様がユッキーの事心配するんだから!
いい?人には得手不得手が有ります!
それを補いあって人間なの!OK?!」
咲耶の勢いに「お、おーけー」と答える幸村。
その答えに、咲耶はにっこり微笑んでーー
「じゃあ、良い子にはご褒美だね!」
*****
「う、うまい…っ!」
きらきらと目を輝かせる幸村に、咲耶は苦笑する。
「誉めたってなにも出ないよ」
「いや!これは是非とも嫁御に貰いたく!……おぉ、我ながら名案にござるな!」
ガシッと、両手で私の手を包み込んでーー
幸村はかしこまったように話だした。
「咲耶どの…!どうか、某のそばにて、
温かい味噌汁と、朝昼晩と団子をば作って頂きたく…」
「…私は飯炊きじゃないってば」
ため息をつく咲耶に対して、ニコニコと楽しそうな幸村。
「咲耶どのであれば、某との子もきっと強い武士に…」
「…っ!は、破廉恥!」
幸村は幸せそうに微笑んで、団子を平らげーー
おかわりをねだって、叱られたのだった。
―――――――――――――
無駄な喋りが多いよ。
だからこんなに長く…っ
日本語おかしかったら、指摘よろしくお願いします。
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