[携帯モード] [URL送信]

BSR倉庫
お月見ネタ(佐助)



【どっかの山中】

「しっつこいな、北条のとこは…!」

佐助は、高速で枝枝を飛び移りーーやり過ごすことに成功した。


「…はーぁあ。疲れた。
もう夜も更けて綺麗な満月………月、あ!」

佐助は慌てて、上田城への帰路を急いだ。

『約束だよ、佐助!』


姫さんと、月見の約束をしてた。
けど、ちょっと安心する。


「…って、こんな時間まで待ってるわけないっしょ。
焦って損した!」


そして佐助はいつも通り、山を駈けた。


*****

【上田城・廊下】


幸村に報告を済ませて、佐助は城内を散策する。

「ちょっと勿体なかったかなー」

姫さんと二人で月見。
真田の旦那は、そんな約束を知ってか知らずか、北条家の動向を調べる任務を急に与えた。


「ま、姫さんは人気だし、
オレ様が居なくても、旦那や家臣とかがーーー
はあっ?」


佐助は唖然とした。
上田城の天守閣の屋根にーー見慣れた少女の姿があるではないか。


「嘘だろ…!?今はもう…っ」


佐助は、慌てて飛び上がった。

*****

「…姫さん?」


「…」


少女は、薄い布を体に巻きつけてーー眠っていた。


「…姫さん、馬鹿だなぁ…」




『天守閣の、上?』

『そ、めちゃくちゃ眺めが良いんだよ!』

『じゃあ、そこでみようね!』



秋の夜風にすっかり冷やされた、頬に触れて。佐助は笑った。


「…オレ様のこと、待ってたんだ?こんなに体冷やして…」

咲耶が聞いてたら、
佐助オカンktkr!と叫んだであろう。


佐助は、眠る少女の髪に指を入れて、撫でた。


「…今言っても、聞こえてないかもしんないけどさ。
姫さん、オレは忍びだよ。
人を欺いて、汚い仕事してるヤツだ…」


佐助の目に、冷たい光が宿る。


「そんなに、してくれたって…オレは何も返してやれないんだ。
だから期待なんかするなよ。


もっと、自分のこと考えてくれよ…」


急に、
その小さな体が愛しく思えて。
そして、
なにか恐ろしくなった。



冷えきった、少女の体を抱きかかえる佐助。

「……いつまで寝たふりすんの、姫さん?」



いつも通りの声色で笑う佐助に対して。

「…」

咲耶は泣きそうな顔で、佐助の首にしがみついた。


「ど、どうしたのー姫さん?」

「違うよ、佐助」


「ん?」



「私は、佐助に何か見返りを求めてるわけじゃない…
ただ、一緒に居るだけで幸せだから…」

(真田主従的に)




「なんか残念な副音声!」



*****
結局、佐助が咲耶の体調を心配して部屋から月見をする2人。

2人で隣あって座っていた。


「あ、もしかして俺ーー今姫さん独り占め!?」


「…何を今更」


「だってさ〜帰り遅かったしさ?
旦那とか、他の奴らに誘われてたらと思うとね〜」


「…うん」


ごしごしと、目をこする咲耶に佐助は笑う。


「寝て良いよ、姫さん」


「だって、約束したじゃない…いっしょ、に」


「んー…じゃあさ、
また俺と月見しよ!」


「ん…、約束だね」


小指を差し出す、眠たげな咲耶にーー

「…うん、楽しみにしとく」


咲耶を抱きしめるようにして、佐助はおでこにキスを落とした。

「…うん?」

相当眠いらしく、咲耶は抵抗もせずに佐助にもたれるように眠りに落ちた。

*****


「おやすみ、姫さん」

愛しそうに呟く佐助は、片膝に咲耶の頭を乗せて笑う。


「…俺は真田の忍で、姫さんに使える事は出来ないけどさ…。」



眠る少女の頭をゆっくりと撫でてやるとーー少女は、身をよじった。


「…でも、姫さんは俺が守るから。
…そしたら、」



次も、
その次も。


俺と一緒に、空を見上げてーー

笑ってくれよな。



――――――――――――

甘々過ぎてびっくりした!


佐助の口調があってるか微妙ですね……

[*前へ][次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!