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お月見ネタ(片倉)
【片倉私室】
「かたくりゃしゃん!」
咲耶が、顔を真っ赤にしてーー嫌そうな顔の小十郎にのしかかる。
「…咲耶」
「なんれすか!」
「…酒臭い」
*****
【ほんの一時間前】
畑仕事から帰還した小十郎の目に映ったのはーー
「何があった…!?」
死屍累々と、戦場さながらに畳に伏した伊達軍の面々。
…そして、酒の香りに片倉は肩を落としーーはっ、と政宗、咲耶の姿が見えない事に気が付く。
「…」
「こでゅーろぉお」
「…政宗様…」
床をゴロゴロと転がる政宗を、哀れみを込めた目で見る。
そういえば、今日は十五夜。
大方、月見酒でも飲んでたんだなーー「こでゅー!」「政宗様、寝間はあちらです」
政宗様は、大丈夫だ。
だが、問題はーーー
大人の、酔いつぶれた屍の上に君臨するーーー「われは!だぁあいろくてんまおーっ」「咲耶てめぇ何してやがる!」
呂律の回らない、少女。
*****
【片倉私室】
「ぐぁーっ!はなしてくらさいよ、かたくりゃさんん!」
離してと言う割には、咲耶は楽しそうに片倉に担がれる。
「…離すわけねぇだろうが。」
「キャッ☆かたくりゃすわんてば、大胆ですねぇっ」
「…こいつは、たちの悪い…」
なんで部屋に連れてきたかと言うと。
「かたくりゃさんかたくりゃさん!」
「…なんだ」「ちゅーしていいれすか!」
主人公、まさかのキス魔化。
片倉は、心底嫌そうな顔をしてーー咲耶をおざなりに畳の上に下ろした。
「…お前、まさか野郎どもにもそんな事を」
「してましぇんよォ!……かたくりゃ、かたきゅら、さんは、
いやなんで、しか…」
「泣くな!」
「うーーっ!」
「…っ!嫌ではない、が…
もっと順序ってやつをーー」
しかし、咲耶は嬉しそうに笑って「すきすき!」と片倉にのしかかる。
予想外の行動。
ーーまるで、片倉を咲耶が襲うかのような体制になる。
「かたくりゃさん!」
「…酒臭い…」
子供のようにはしゃぐ咲耶にため息をつく。
「ちゅーします!」
「…あ゛?」(ドスの効いた声)
あまりの咲耶の横暴に。
片倉の中で、何かが切れた。
「…どけ」
「あ」
流れるような動作で、咲耶と片倉の位置が逆転する。
片倉の瞳に、鋭い光が宿った。
「…お前はまだガキだと、何度言ったと思っていやがる。
野郎どもの中で酒あおるたぁ、いい度胸してるじゃねぇか。」
咲耶を抑えている手に、力が入る。
「…少しぐれぇは、
痛い目見るか?」(ドスの効いた声)
*****
片倉は、何やら怪しい色の液体の入った器を咲耶に渡す。
「飲め」
「…え、これ何フラグですk」「…つべこべ言わねえで…」
「飲みます飲みま……
クソまずっ!!とどめさす気ですか!」
よっぽどまずかったらしく、涙目で訴える咲耶ーーーの手から、
器を奪い、片倉は中身を口に含みーー
「ーーっ」
咲耶の頭を鷲づかんで、口移した。
鼻も指で防がれた咲耶は、
ーーゴクリ、と片倉の寄越してきた液体を「まっずぃいいっ!吐く!吐くっ…!」
「…当たり前だ、それはキツケ薬だからな。慣れねぇ奴があんなに飲んだら……次の日が酷いからな」
「…そんな理由で、ちゅーしたんですか…」
咲耶の、呆れたような声に。
「…なんだ?てめえの方から迫ってきたじゃねぇか。」
妖しく、笑う片倉に。
「ーーっ」
咲耶が赤面した。
しかし、負けじと言い返す。
「だからって、酷いですよ…ロマンの欠片もないじゃないですか…っ」
そして、彼女は後悔する。
酔った勢いで、というにはーーあまりにしょうもないことだが。
「…じゃあ、やり直してやろうか?」
次の日二日酔いに苦しむ伊達軍の中で、
咲耶と片倉は無事だったという…。
―――――――――――――
出血大サービスしようとして、
墓穴ほったから、埋まりたい。
片倉が別人状態だね!
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