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BSR倉庫
冬拍手(オトンオカン)
オトンとオカンと

*****
(梵天丸視点)
日に日に、寒さが増していくような昼間の事。滅多に台所に立たないあの人が、慣れない手付きで鍋に白い粉を大量に入れている。

「なぁ、何やってんだ?

「…あぁ梵天丸ですか、驚いて砂糖と塩を間違えてしまいましたよ」


「それを俺のせいにするか…で、餅焼いて何作るんだ?」


焜炉の上の金網で、餅が膨れている。先日『餅投げ』に駆り出されたが、あのもみくちゃにされながら餅を奪うあの感じは癖になりそうだ。
無表情に近い彼女はしかし、うっすら楽しげに俺の視線までしゃがみ込んだ。

「甘酒に焼いた餅を入れて食べたら、美味しいかと思って」

「…待て、さっき砂糖と塩がどうとか言ってなかったか…」

彼女の視線が、泳ぐ。

「…知ってますか梵天丸?甘いものに塩を隠し味に入れると甘味が増すんですよ」

「それは、塩気しかしなくなった甘酒に対して使える豆知識か?」

「……こういう汁だと思えばいいんですよ」

「それを本末転倒っていうんだぜ?『yousee?』」

「英語とは生意気な…」
最近、俺は教育テレビを見て英語を勉強している。
そんなこんなしていると、買い出しに行っていた三人が帰って来た音がした。

「たっだいま、って…なんか焦げ臭い…!台所大丈夫か!?」

佐助が慌てて走って来る音に、言い訳していたあの人も焦ったように焜炉を見て、
固まった。

「……大丈夫か?」

恐る恐る聞いてみると、彼女は黙って首を振る。やらかしたらしい。
佐助と小十郎が現れて「餅は!」と叫んだが、彼女は自嘲気味に微笑んだ。

「…君達は炭でも眺める趣味でもあるのかね?」
「そのネタは止めよう、」


結局、甘酒に再び砂糖を入れてなんとか飲んだ。
やっぱり飯作りは小十郎達のが上手い、と再確認できた寒い日の事であった。


*****

餅拾いって、子供ながらに楽しかったです。30個ぐらい拾って食べきれなかったような…。


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