[携帯モード] [URL送信]

BSR倉庫
冬拍手(笑う鬼)
笑う鬼と泣きむし

*****

とある冬の日。
今日も今日とて長曾我部軍はむさっくるしく海原を行く、
ハズだった。

***

「大丈夫ですかアニキさん…!」
おろおろとする私の前には、西海の鬼と呼ばれる元親がグッタリと横たわっていた。いいや、彼だけではない。

「あ、当たり前ぇよォ…!こんな風邪なんざ俺にかかれば…」

「「「アニキー…!」」」
そう、私以外全員風邪をひいたのである。蚊のなくような船員達の声援に、私はがっくりと肩を落としながら濡れぶきんを取り替えて行く。

「冬になったのに、いつもの格好のままだから風邪ひくんですよ…!皆さんも、せめて袴とか履いて下さい…!」

「馬鹿野郎!海の男がそんなに弱気でどうすんだァ…!寒さなんてもんはなァ、寒いと思うから感じちまうのよォ!」

「「「アニキー…!!」」」

「しっかり体壊しちゃってるじゃないですかぁ…!」

しかしながら、海の男たる彼らの誇りを季節如きで変えられる筈もない。…だから、私なりに考えてみたのだ。

「あ、アニキさん…!私、体を温める方法考えたんです…みんなには、秘密ですよ…?」

「……え」

元親の頬が、熱の為か赤く火照る。彼の目には恥じらうような彼女の姿が映る。
その、白魚のような手がゆっくりと元親の腰に回されて、図らずも元親の鼻から血が流れ出た。
「や、止めっ…!耐性無いって言ったろうが!「あ、やっぱりちょっと大きいみたいです…」野郎共、ドン引きしてんじゃねぇえぇ!」

涙目で必死に訴える元親の前に、手作り感溢れる腹巻きが差し出された。
「アニキさんには大きいかも知れないんですけど…、まだアニキさんにしか作ってないので皆さんには秘密で…」
「……お、おう……」
「お腹いつも出してたら冷やしますよ、お大事に!」

その日アニキは、色んな意味で泣いたそうな。


*****

既出かもしれないネタですね…。腹出しキャラって多いですけど、冬は寒いんじゃないかな…。



[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!