BSR倉庫
Xmas(蒼紅)
※パラレル設定
※現代の夢主家に居候してます。
――――――――――――
【蒼紅とXmas】
「た、だいまー…って、何してるんですか筆頭」
クリスマスの夕方。予備校に通う兄を見送ってきた咲耶は、台所でせっせとケーキ作りをしている筆頭にため息をつく。
彼は至って、真剣である。
「HA、見てわからないのか?」
「ちなみにその生クリームはそこに置いて下さいー。ドリームでは、ぶっかけられる事はよくある事です」
筆頭はあからさまに舌打ちをして、生クリームのボウルを置いた。
「よくぞ危機回避なされた、咲耶殿ぉぉお!」
「うわ、冷たっ」
背後から、咲耶の肩を掴んだのはーー現代風、真田幸村。
近場のスーパー帰りらしく、しろいビニール袋を引っさげて…
「あれ、手袋は?!こんなに冷たくしてっ」
無くしたのか、幸村の手はかじかんだように冷たい。咲耶に手を握られ、少し顔を赤くする幸村はーーーにへ、と笑った。
「雪だるまに差し上げた!」
「はぁ?」
「何やら、幼子が欲しがっていたのでな!」
それに、と幸村は咲耶の頬を両手で挟んだ。
「俺には、咲耶が居るから良いのだ」
「ちょ…
バリバリッと電気が走る。
「OK、そこにのしてやる」
筆頭、駄目だからね。なんで家に包丁6本も有るの?!」
筆頭を止めて、幸村の手をはがしーー台所に向かう。
「わたしも、料理手伝うから」
「ahーー?必要ねぇぜ、大人しく座ってな」
「う…」
ここ1ヶ月、筆頭は現代料理にハマったらしく…その腕は咲耶をも凌いでいるので、何も言えない。仕方ない、と踵を返した咲耶に「待ちな」と声がかかる。
「なんですか……ふぐっ」
口の中に、生クリームのついた莓を突っ込まれた。
「…甘いか?」
「いや…酸っぱい?」
そう、返すと満足げに「Allright」と笑い。指で唇を拭って行く筆頭は、
「莓に酸味が有る方が、cakeの味が生かされる」と、生クリームのついたままの指を舐めていた。
*****
「咲耶殿ー咲耶殿ー」
「ん、どうしたユッキー」
筆頭が鼻歌混じりで料理をしている。暇な咲耶と幸村は、コタツでバラエティーなんぞ見ていた。
「クリスマス、とは何をするのでござるか」
「ぱーりぃとか?」
わざと言ってみたが、「ぱーりぃ?」とスルーされた。やっぱり筆頭に言うべきか…!
「ほら、プレゼント交換したり、ゲームしたり…」
「うむ、スーパーで聞いたげぇむとやらをしてみたく…!」
と、幸村が取り出したのは「お約束だね…」やっぱりポッ●ーだった。
「たかがポッ●ーと侮るなかれぇぇえ!店長殿が、仁義をかけた1対1の攻防、とぉお!たぎる!この幸村「近所迷惑!」…して、対戦方法はいかに!?」
知らないから、か…!
けど、いたずら心で幸村の困り顔見たさに…
「やってみる?」
*****
「…咲耶殿?」
案の定、幸村は真っ赤になりながらも武士のプライドからか、ポッ●ーを口から離す事はしない。
「負けたら…そうだなぁ、女装でもして貰うかなー」
「!!」
幸村の目に、炎が灯った。
途端に、幸村の両手が咲耶の肩を掴み……勢いよく、ポッキーを食べ進めて来た。
「(やばいっ)」
顔を逸らそうとしたが、頭を固定されーーー「不純異性交際禁止ぃいい!」
バキョっと、変な音をたてて。
幸村が壁に衝突していった。
「あれ、お帰りお兄ちゃん」
「たっだいま咲耶!☆」
いきなりの登場に驚くし、
何よりユッキーを足蹴り
にしてキラキラした笑顔を見せる。
「ふ、ぐぐぅ!ぉおおかえりなさいませ、兄上ど「幸村に、兄上と呼ばれたくないわぁあ!お館さまぁあ!」
バコーン。
ぁああ、また苦情入るよ。
「…咲耶」
「筆頭?」
咲耶の口にくわえられたままの、ポッ●ーを。
パクリと加えて。
「良いプレゼントだな」
「あ」
筆頭は妖しく、笑ったのだった……。
(あぁああ!ダテムネってば何やってんの!)
(ぐ、はっ…兄上、殿…)
(ほら、出来たから食おうぜ?)
―――――
うやむや(笑)
現代兄は、強いよ…!
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