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BSR倉庫
お月見ネタ(伊達)




【山中】
まるで暴●族のような装飾の軍馬が、野を駈ける。
馬にまたがった伊達政宗は、
小脇に、大きなススキを持って、気分良さげに手綱を引いていた。


*****

あれは、ほんの1日前のこと。
咲耶があまりにも、月が綺麗だと言うので翌日が十五夜だと教えたところ。

『じゃあ、お月見しましょう!』
と、楽しそうにいうので。
ちょっと、張り切ってる。

*****
【厨房】

『おい、見ろよ…筆頭が何か白い粉をこねてらっしゃるぜ!』
『ばっか、そんなわk…』


「何してんだ、てめぇら」


『『あ、小十郎さま』』


厨房を覗き込んでいる足軽を、訝しげに見て。
小十郎は『あぁ』と、己の大将がーー顔に似合わず、手際良く団子を作って行くのを、目を細めて眺めた。


「…そうか、十五夜か。」


『筆頭、何してるんすかね?』

「大方、月見団子だろうな。
…間違っても、手伝おうなんて言うんじゃねぇぞ?
政宗様は何でもこなせる方だが、料理には…少々こだわるからな」



小十郎は、そう苦笑するとーー『おら、持ち場に戻れ』と足軽を叱咤した。


*****
【夜・縁側】

「…よし、perfect!」

政宗は、ニヤリと戦場で見せるよりもずっと良い笑みを浮かべた。
穂の大きなススキ、
恐ろしく形のいい月見団子、
(小十郎に内緒で拝借してきた)月見酒。


準備万端。
あの、最近気に入った少女が喜ぶ顔が目に浮かんだ。


月も登ってきたし、頃合だろう。
幸い、大きな満月が濃紺の空に白銀の光を放っている。


「おい、咲耶ーーーっ!」


「にゃァ」
咲耶を読んだはずなのに、部屋から飛び出したのは一匹の黒猫。
咲耶が『マサムネ』(奇しくも、自分は筆頭と呼ばれるのに、ネコは名前だ。)と呼ぶ猫に、少なからず、政宗は嫌な予感を覚えた。

「また、てめぇか…っ!」

そう、ヤツはすぐに邪魔をする。具体的にいえば、横恋慕入れてくるのだ。咲耶と居ると。


「にゃァ?」

「ばっか、止めろ!それはーっ!」


マサムネが目を光らせて。
ススキの瓶をなぎ倒し、


団子のピラミッドに突っ込んでいく。


「Noooooo!!」

ガシャン。


「な、な、どうしました筆頭!」

「…sorry、咲耶…。まさか猫にしてやられるとh」「三秒ルール!」「…rule?」

はい、と咲耶は微笑み。あろうことか、地に落ちた団子を拾い上げ口に入れた。


「…っ!stop!何してーー」

衛生的に悪い!
政宗は慌てて、咲耶の顎を掴みーー

「口開けろっ」

「んーーっ」

「拒否すんな!」


開かない口に、指を入れた。


「んんっ!?」


予想外だったのか、咲耶の口は容易に開く。
団子はまだあった。


「せめて、床のヤツに…」

政宗が呆れている間、
口に指を入れられるという異常事態にーー


「…っ!」


咲耶の口から、白い団子が落ちるーー


「ーーっ」


前に、政宗が慌てて口でキャッチしt「な、何してるんですか!」

「……」


間接チューどころじゃない。


しかし、政宗はーー


…咀嚼。

「吐き出して下さいよ!」

次は、咲耶が詰め寄る番だった。


ゴク、と政宗の喉が動き。
「……あ」


「…よし、咲耶仕切り直し…」
ニヤ、とやっぱりネコみたいな目で咲耶を見る。

ふいに、
政宗は着物の袖で咲耶の口元を拭いた。


「な、んですか!」

「…よだれ」


「……っ!」

さっき、口が開きっぱなしだったからであるが。


…咲耶はため息をついて、団子を拾い集める。


*****

「ネコは好きに成れそうにねぇ……飼うなら犬だ。」

「はいはい」


…と、咲耶の足元にマサムネが現れ「にゃァ」と鳴く。
抱き上げてやろうと、咲耶が手を伸ばしーー



「…駄目だ」

「へ」


突如、政宗の手が咲耶の腕を掴みーーー


流れる様に、抱きしめられた。


「え、ちょ…っ」

「…悔しいか?」


政宗は、マサムネを見下して笑う。
咲耶を抱きしめ、鋭い眼光を宿した目で猫を睨む。


「こんなこと、出来ねえだろ」

「…にゃァ」


「HA、睨んだって無駄だ」



「コイツは、オレの物だ。…yousee?」





「ネコ相手に何やってんですか…」




月が見守る中、
伊達政宗は、少女と十五夜を楽しんだのであった。





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あきゅろす。
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