霧の國
C
【藍武視点】
伊蕗は言うには、『氷樹』とは『自然』らしい。
「昔この世界は、今以上の科学技術で栄えていたんですよ。
人口だって爆発的に増えてました。
……でも、やがてこの世界の環境は酷く悪くなってしまって、人はこの世界を捨てようとしたんです。
その罰がこの世界と『氷樹』です」
なんだその設定。
すっげーファンタジーだな。
「ある日、海が凍りついて。
植物も石のようになってしまいました。
それが一カ所にまるで大樹のような姿をとった。
もとは海水であったそれは、
世界中の様々な資源をも取り込んで、
固体化してしまったのです。
それからは『氷樹』を巡って戦争ですよ。嘆かわしい。」
呆れたように首をすくめた伊蕗はしかし、どこか楽しそうだった。
「けどね、戦争が続いて人口が減った。
それと女性が生まれなくなってしまったから、
人は焦ってなんとかこの『國』を作ったんです。
氷樹が汚染されないように、
それと『人間以外』の動物から資源を取り上げる為に。」
なんて浅ましい。と伊蕗は付け加えながらも。
「その『人間以外』が『キリムコウ』ですよ」
じゃあ、襲われたって文句言えないよな。
…ところで、
「いつまで俺の手握ってんだよこの変態やろー!」
*****
あれ、でも待てよ。
じゃあ、あいつは誰だ
マヨちゃんに馴れ馴れしく触りまくって、俺を見捨てようとしたあいつは?
それに、『あなた達』と伊蕗は言った。
マヨちゃんは、普通の家庭の、地味な普通の女の子なんじゃないのか。
どうして、
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