霧の國
人獣対峙
【??視点】
この世界は滅んだ。
いや、それは前から居る生物にとってであってオレたちにとっては始まりのはずだった。
けれど、受け継がれるハズの『氷樹』はまだ人間を見捨てなかった。
だから、オレたちは人間と一緒に生きられるのかも知れないと思って、
この馬鹿デカい『タワー』ってやつに登った。
登る為に、進化が必要だった。話す為に、進化を強いた。
その間にちょっと変化が有ったみたいだ。
腐敗した『本当の大地』に、あろうことか人間が二人居た。話してみようか思ったけど、オレたちの仲間は人間を見ただけで我を忘れて襲いかかってしまった。
オレたちには、2つの姿がある。
本来の姿は、俗にキメラと呼ばれる異形の獣。
そして、人間と対話する為に進化した人間にごく近い姿。
でも仲間の全てが、その姿を自由に入れ替えれる訳じゃない。同じく、人間の姿をとれない仲間も居る。
けれど、あの二人の人間は。
この世界とは違う匂いがした。
だからオレは、彼らを運ぶ事にした。
何かが変わるんじゃないか、って思ったんだ。
***
突然、屋上の扉が開いた。
まだ敵が増えるのかとオレは思ったんだけど、嗅いだ事のある匂いだって気がついた。
「天戯!無事ですか!?」
若い男、こいつはちがう。
「…藍武くん、ほら大きなライオンだね」
「ライオン…白いライオンとか…!いや、足がカエルだよマヨちゃん…」
あ、やっぱり君たちか。
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