[通常モード] [URL送信]

霧の國
A

【藍武視点】

僭越ながら、説明をしたいと思う。
あの時、氷が俺達に迫って来てーーちょうど当たりそうだったから左右に散った訳だ。
それが大きなミステイク…


ロボット軍団は、氷の中に閉じ込められた。
追っ手の二人も散り散りになった。

俺とマヨちゃんも散り散りになった。



それなら、まぁ、「探しに行かなきゃ」で済むんだけど、
俺の隣には、何故か糸目がいた。


「……」

「…どうされました?」

にっこりと笑みを浮かべているコイツは、黒い銃をこれ見よがしにクルクル回している。
一時休戦。
命が大切だと思います。



「…しかし、居住区を突き抜けて来るなんて。かつて無い暴挙です…」

感心するように、男は辺りの壁を巻き込んだ氷の壁を触って溜め息をついた。

「修繕するにしろ、工場への供給が滞ってないかが懸念されますね。可能性は大いにありますし、あぁ自動修復システムに氷に対する行動を組み込んでからだと、」

「一人で楽しんでいる所悪いけど」

「楽しい訳ないでしょう。因みにアナタ方に発砲しなかったのは、単に流れ弾がパイプに当たらないか心配だったからですよ。『工場』(ファクトリー)に何かあれば明日にでも『タワー』はヤツらに占拠されますから」


長いセリフを、すらすらと喋るコイツに若干引いた。

「あんたらの事情はともあれ、打開策を考えてよ。連絡手段とか無いの」

「口が達者ですね、君は。連絡手段は無くは無いんですが……」

考え込むように、口元に手をやる彼は何故か俺を見て顔を赤らめた。…え、赤らめた?

彼は、わざとらしく咳をする。

「つ、吊り橋効果って知っていますか…!きっとそれです、多分それのはずですが、何でしょうこの胸の高鳴りは」

「そんな一部の女性読者が望む展開に持って行くつもりは無い!」


あぁ、どうしよう。
貞操の危機だろうか。



戻る*進む♯

14/26ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!