霧の國 B 【藍武視点】 「…おや、アナタは白髪ではないのですね」 ロボットを指揮しているらしい男は片眉を上げて、俺を見た。 「あぁ、まだ俺は16だからさぁ」 「歳など、関係有りせんよ?………アナタは一体何です?」 男は、思案顔で俺に尋ねる。 この場合『お約束』のパターンならーーー違う世界から来たって事を伝えると、すごい優遇される。(もしくは)ここが敵地だった場合は、追い回される。 けど、トリップ主人公って奴は……8割方前者だし、 よっぽどじゃなきゃ死んだりしない、ハズだ。 よし、言ってしまおう。 「まぁ、解析してみれば分かる事です。我々と来ていただきましょう。」 言う暇もなく、俺は拘束されてしまった。ロボットに囲まれて移動するのは初体験だが、非常に有り難くない。 「(そういえば…)」 マヨちゃんは、バレずに済んだようだ。 これで正解だと思う。 主人公は俺な訳だし、脇役はこの国で生活に溶け込んで行けばいい。 俺が捕まれば、しばらく凌げるハズだし。 安心して、俺も生きていけるじゃないかーーと、部屋を出た時。 「おーい、伊蕗(いぶき)?もう一匹居るじゃねぇか」 楽しげな、男の声がして慌てて振り返った。 マヨちゃんの長い髪をひっ掴んで、不敵に笑う長身の男はーーーまるでウサギでも捕まえたみたいに、マヨちゃんを覗き込んだ。 「…おい、もしかしてお前……女か?」 その言葉に、びくりと肩を動かすマヨちゃんを見て。俺は嫌な予感しかしなかった。 戻る*進む♯ [戻る] |