[通常モード] [URL送信]

霧の國
B

【藍武視点】


「…おや、アナタは白髪ではないのですね」

ロボットを指揮しているらしい男は片眉を上げて、俺を見た。
「あぁ、まだ俺は16だからさぁ」

「歳など、関係有りせんよ?………アナタは一体何です?」


男は、思案顔で俺に尋ねる。
この場合『お約束』のパターンならーーー違う世界から来たって事を伝えると、すごい優遇される。(もしくは)ここが敵地だった場合は、追い回される。

けど、トリップ主人公って奴は……8割方前者だし、
よっぽどじゃなきゃ死んだりしない、ハズだ。



よし、言ってしまおう。

「まぁ、解析してみれば分かる事です。我々と来ていただきましょう。」


言う暇もなく、俺は拘束されてしまった。ロボットに囲まれて移動するのは初体験だが、非常に有り難くない。

「(そういえば…)」


マヨちゃんは、バレずに済んだようだ。
これで正解だと思う。


主人公は俺な訳だし、脇役はこの国で生活に溶け込んで行けばいい。
俺が捕まれば、しばらく凌げるハズだし。




安心して、俺も生きていけるじゃないかーーと、部屋を出た時。



「おーい、伊蕗(いぶき)?もう一匹居るじゃねぇか」


楽しげな、男の声がして慌てて振り返った。
マヨちゃんの長い髪をひっ掴んで、不敵に笑う長身の男はーーーまるでウサギでも捕まえたみたいに、マヨちゃんを覗き込んだ。


「…おい、もしかしてお前……女か?」



その言葉に、びくりと肩を動かすマヨちゃんを見て。俺は嫌な予感しかしなかった。




戻る*進む♯

8/26ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!