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霧の國
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【真代視点】

髪が、白い?


そう言えば、怪物から助けてくれたあの少年の髪は真っ白だった。それと何か関係が…


「…『キリムコウ』の民は、髪が白いんですよ!だから、真代さんたちは『キリムコウ』の人じゃないでしょ?ね?」


何故か必死に、夕雨は『キリムコウ』ではないと言って欲しいらしいアピールをする。


「…あー、何?その『キリムコウ』だとなんかあるの?」


藍武くんが、面倒そうに夕雨に尋ねた。夕雨は、困ったような顔をしてからーー


「『キリムコウ』の人は危険だから、『タワー』の役人に引き渡すのが通例なんだ」

「『キリムコウ』?『タワー』?」

私が尋ねると、夕雨は熱心に公式を教えようとする教師のようにゆっくりと話した。

「『キリムコウ』は、文字通りあの濃い霧の向こうからくる者の事です。『タワー』はこの国を管理する政府の事。ついでにこの国の事を『タワー』とも言います!」


ちょっと得意げに喋る夕雨は、「あ!」と何かを思い出したように声を上げた。


「オレ、まだ仕事の途中だった!親方に叱られちゃうよっ」


夕雨は、慌てて部屋を出ようとしてーー、振り返る。


「部屋から出ても良いんですけど、気を付けて下さいね!さっきサイレン鳴ってたのは、『キリムコウ』の人が侵入したかららしいですから!」


夕雨の気遣いの言葉に、内心冷や汗をかく二人。まさか、一緒に侵入したんですよなんて、言えない言えない。


「まあ、この街のいたるところに監視カメラ有るので…直ぐ捕まるのがオチなんですけど!」

夕雨が、私たちを安心させようと放った言葉で。
逆にかなりの焦燥感を覚えた。

夕雨が、部屋を出て行った後。


「……っ逃げるよ、マヨちゃん」

再び逃げ出そうとした私たちに、無数の足音が聞こえたのは直ぐの事だった…。




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あきゅろす。
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