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霧の國
E

【真代視点】

着地する直前に、獣耳の少年はなにやらエアバックのようなものを使ってくれたので、何とか打ち身程度ですんだ。

がしゃん、と機械の鳥が近くに崩れ落ちたので「藍武くん!」と名前を呼ぶと。
彼も、無事だったのかごろりと転がりながら。


「生きてる、よ」

と返事してくれた。ホッとしながらーー私は、お礼を言おうと獣耳の少年を探したが。


「あれ、居ない…」


広場のような所だというのに、彼は消えてしまっていた。とりあえず、藍武くんを介抱しようとしてーーー。


けたたましいサイレンに、私はビクついた。


次から、次へと!

サイレンに混じって、合成音声で『侵入者有り!侵入者有り!』という言葉が聞こえて来た。

「何してんの、逃げるよマヨちゃん…!」


苦しげな、藍武くんの声に。私も弾かれたように立ち上がった。足元は鉄板の為、歩くと『カンカン』と音がした。
たくさんの『カンカン』が近づいて来る!


とにかく、その足音から逃げるようにしてーーー


「あっちに、行こう…!」

私たちは、工場みたいな建物の方へと走りだした。


あまり、明るくはないし未だに霧だらけな視界で。



逃走劇が始まった。




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あきゅろす。
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