霧の國 D 【藍武視線】 寒い。かなり高度が高い事が分かる。相変わらず、濃霧の中で。どうやら、タコの難からは逃れたらしい事を確認しーーー、俺は、息を呑んだ。 機械で出来た、大きな鳥にミミズよろしく掴まれてる事はこの際……なんか、デジャヴだ。 「何だ、これ…」 眼下に広がっているのは、『街』だ。あちらこちらに、工場のようなパイプや鉄橋が見えるが、それに混じって都会にあるビルのような建物が健在する。 明かりも見える。 けれど、この高度だ。 目を凝らして、俺は推測をする。濃霧のせいで土台をきちんと確認出来ないが…まるで『塔』みたいな『要塞』であり『工場』だ。 恐らく、高い塔みたいなものの上にこの『街』は存在している。ただし、馬鹿でかい。 空中庭園を『街』の規模にした。そんな感じだ。 「…ちくしょぉ、国語苦手なんだよ…!」 言葉って難しい。 俺の説明で理解出来たらすごいと思う。 「かなり文字数くっちまったなぁ」 あ、こっちの話ですよ。はい。 しばらく、落ち込んでいると。 ぴかり、と眼下の街の方から何かがーーー バァァアン!! 強い衝撃。 「何なんだよ本当に…」 鼻を、焦げたニオイが掠めた。機械の鳥が、炎上している。 「…は、まさかさっきの光……レーザー光線、とか」 そして、お約束だが。 眼下の『街』へと、機械の鳥も高度を落としていく。 かなり、低空飛行になった頃にーーー 力尽きたように、機械の鳥は落ちて。 俺達は、広場のような場所へと不時着したのだった。 戻る*進む♯ [戻る] |