[携帯モード] [URL送信]

貧乏学生の本田があらわれた!
ギルがお迎えに

さて、帰りましょうかと校門へ向かうと……何やら人だかりが出来ています。女生徒達が色めき立っていますね。

「…あ」

遠巻きにに眺めている女性ばかりだったので、何が注目を集めて居るのか分かりました。
ギルベルトが携帯を弄りながら、待っています。

「……、よう」
「ギルさん!」

菊が小走りで近寄ると、彼は目を細めて菊を見つめました。大学で彼に合うのは不思議な気分ですが、なんだか嬉しくて、菊は笑顔になりました。

「ふふ、なんだか久しぶりにお話をしたような気がします」

「そうか?……とりあえず、帰るぜ」

少しはギルも気になって居たのか、人だかりから早く抜け出したくて菊の手首を掴み、引っ張りました。
そんなギルに、思わず菊がからかうような声音で話します。

「おや、照れてらっしゃるんですか?」

「…お前なぁ!…ったく、ルッツから電話で元気が無ぇだのなんだの聞いたから迎えに来てやったのによ…」

ぶつぶつ、と肩を張りながらギルは菊の前を歩きます。菊はその手を見つめて、穏やかに笑みを浮かべました。

「…ありがとうございます、ギルさん」

「……別に」

ギルの耳が少し赤くなりました。






……


「ギルさん…?なんで……?なんで、あんな地味な奴……アルも……ギルさんも、おかしいでしょ…?
私を、私を笑いものにする気?私を、馬鹿にした……!!
絶対許さない!あいつ!!あんな奴!!私を騙した!許さない!許さないッ!!?」

ヒステリックに叫ぶ彼女を、遠巻きに眺める群衆の中にはいつかの、マシューの姿がありました。彼は痛いのを我慢するような、何かを噛み締めるような表情でまた群衆の中に紛れていきます。




………


歩きながらの帰り道、ぽつりぽつりと二人は話しました。ギルの睫毛がやたら抜けるなんて、他愛も無い事を話しながら。
菊はふと、アルバイトの話を思い出しました。

「…実は、アルバイトをしようと考えて居るのですが…。
ギルさんの所で働かせて頂けませんか?」
「…あー」

それは予想外だったのか、ギルは明後日の方向を見ながら頭を掻きます。

「…特殊な職場だしなぁ…。俺、責任者じゃねぇけど、お前のやる気次第で話はつけとくぜ!」
「恐れ入ります、よろしくお願い致します」

丁寧なお辞儀に、ギルは接客業向いてるんじゃねぇか!?と贔屓めで菊を大絶賛しましたが、フェリシアーノからは「もっと友だちみたいに喋ってぇええ!?」と懇願されています。

ギルは、思い立ったが吉日とクラブ『悪YOU』へと菊を連れて行く事にしました。

そしてようやく、菊はフランシスと対面し、アントーニョにも会い、ギルの職場がホストクラブだと知り、戦慄するのでした。







[*前へ][次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!