貧乏学生の本田があらわれた!
ライヴィスが縮む
さて、その頃学生寮では風呂上がりの三人が自室でゲームを始めて居ました。
テレビ画面では、熾烈なカーレースが行われています。
フェリシアーノはハンドル型のコントローラーを握りしめながら真剣に遊んでいました。
「一番早いのは俺だよ!青甲羅投げたら、後で突っつくよ!」
「私はルートさんと、フェリシアーノさんとの間です」
「俺の後ろにはNPCが4体居るな」
さて、菊は何番でしょう?なんて問題は解いても何もありませんが、菊は一向に帰ってこないギルからのメールが気になって居ました。
疲れたのかコントローラーを置いて、フェリシアーノがソファーに横になります。
「ね、菊はなんでギルのとこに居るのー?男が好きなの?」
「…ええと、では、その聞いて下さい。それと男が好きって、ナチュラルに入れて来ましたね…」
「その議題には興味があるな」
やけに食いついてくる理由を菊は知りませんでしたが、真剣に話を聞いてくれようとする2人に感化されたように、菊は拾われるいきさつを話しました。
……
「Спасибоp」
「えっ」
無事、コンビニに怪しい青年を案内したギルは耳慣れない言葉に身体を震わせました。ニュアンス的には悪い意味じゃなさそうですね?
「良かったよー、ラストワンも貰えて本当に良かったー!ギルベルトくんのおかげだね?」
「そりゃ良かったなー…」
楽しそうな青年を余所に、ギルはくじで当てたタオルを適当に鞄に入れながら、駐車場をみました。案の定、あの肩につかない程度の髪の青年と、利口そうな目の青年、そして挙動不審な少年が待ち構えていました。
「あ、見つかっちゃった☆」
「…愉しんでますね」
「時間が押してます、早く向かいましょう」
「そ、そうですよ…でも良かったですね!上位の景品全くなかったですけどラストワンだけはって、出るまでつぎ込んで!」
「ライヴィスぅうぅぅう?!!」
あぁ、小さな少年が頭を押さえつけられています。やめてください縮んでしまいます!
ようやく解放される、とギルが伸びをしていると、ポロリと懐から何かが落ち……
「札束?」
物騒なくらい分厚いですね?
恐らく普通に生きていればおよそ出会うこともないくらいの札束です。アスファルトの地面に力強く自立しています。
「それ、案内代と携帯電話の弁償だよ」
「俺様の携帯はあれか、世界にふたつとない幻の携帯電話だったのか?むしろ携帯電話より札束のが厚みあるんだが、どういう事だよ!?」
悪びれもなく笑う彼に返そうと駆け寄るギルベルトを余所に。黒塗りの車に乗り込んだ彼は意味有り気に微笑みます。
「取っといてよ、……今度またお世話になるだろうしね」
「は?」
「Давайте встретимся снова.」
なんだか嫌な予感しかしません。
混乱しながら札束を持ち帰ったギルベルトが、次の日の朝、ものすごいリアクションをして隣のピーターに怒られるのはまた別のお話。
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