貧乏学生の本田があらわれた! アルフレッドは秘密にした さて、嵐は去り。 まったりと昼食タイムに入りました。 「本田も大変だな……」 ルートはなんとなく、菊に親近感を覚えました。 「なんで菊、ジョーンズと仲いいの〜?」 「フェリシアーノ!喋りながら食べるな、三十回は噛め、消化に悪い」 ルートの指摘に、ビクッと体を震わせてからフェリシアーノは少し黙って、また直ぐに花が飛ぶような笑顔で話し始めました。 「だってさ〜、科も違うのに不思議だなぁって思って〜」 「選択授業がたまたま同じだったのですよ…」 そう、最初はそこだった。 何が気に入ったのか、よく話しかけてくれるようになり、隣に座るようになり、 「ふーん、向こうからなんだね…」 ポツリ、とフェリシアーノがつぶやきました。声音が何と無くいつもと違う気がして、菊は彼を見ましたがいつもと同じような顔でフニャっと笑います。 「俺、あいつ怖いよ〜」 「あぁ、わかりますよ…若さ故の強引さと言うかなんというか」 「……本田、まさか知らないのか?」 ルートが、意外そうな顔で菊を見つめます。 「ジョーンズといえば…」 「菊〜!次の講義は二番教室なんだぞ!一番前、取りに行こうじゃないかー!!」 「ひっ」 どこから来たのでしょう。ステルス機能の着いたアルフレッドなんて最終兵器並だと思うのですが…あまりのタイミングの良さにルートとフェリシアーノは察したように目を逸らしました。 「わ、わかりましたから離して下さい」 菊に絡みながら、アルフレッドの視線は二人に向けられます。 そしていたずらっぽく微笑み「Silence is golden」と囁き人差し指を口に当てました。 菊がずるずると引き摺られて行ったあと、二人は顔を見合わせて「苦労するな…」「そうだねぇ」と見えなくなった友人を心配しました。 場所は変わり、 ここは王耀の管理するアパートです。 菊が前まで住んでいた場所でありますが、ある理由から帰ってこない方が良いと耀が判断した為、部屋は残していますが菊は立ち寄りません。 「さ、掃除でもするある…」 ビクッ、と耀は体を震わせました。 嫌な予感がして、菊の部屋だった場所へ急ぎます。 嫌な予感は、確信へと変わりました。 「ひでぇことするあるよ…!」 部屋の扉からは異臭がしました。 おそらく毒物か何かでしょうか、郵便受けに大量の紙袋が詰められています。 耀は怒りに震えました。 「あの子が、なにしたっていうあるか…!」 耀と菊は親戚にあたります。 彼がどんな半生を生きて、今の状態になったか知っている数少ない人物が耀でありました。 だからこそ、親戚には煙たがられた菊の身を引き取り親のような気持ちで、今も彼を心配しています。 だというのに、この仕打ちはあんまりだと耀は頭を抱えて。 「とにかく、気を付けさせねーといけねぇある」 最近変えたばかりの携帯端末の液晶をおっかなびっくりつつき始めました。 [*前へ][次へ#] [戻る] |