オトンとオカンと
小十郎編
オトンとオカンと忙しい年末の話。
小十郎編
年末の賑わう商店街で。
小十郎はいつものように買い物をしていた。
「あいつはクリスマス以降まともなもん食ってなかったからな…」
政宗様がやけにクリスマスに拘り、鵺子もその気になって豪華な食事を子供に振る舞おうと躍起になり、悲しいかな家計は火の車である。
そして、無理の祟ったは鵺子年末を風邪で迎えていた。
「あら、片倉さん!いつもご贔屓にして頂いて…」
「お世話になっております。…所で、何か精のつくものは有りませんか?」
商店街の常連客である小十郎の問に、青果店のおばちゃんは首を傾げる。
「彼女さんにかい?」
「彼女だけじゃありません、子供にも…」
「こ、子供…っ」
慌てふためくおばちゃんの様子に苦笑いしながら「私の子供じゃありませんが」と小十郎が付け加えると更に混乱を招いた。
「とにかく、レモンとか酸っぱいものが良いんだって!」
「…?民間療法でしょうか」
まさか妊婦扱いとは夢にも思わない小十郎である。
「では、時期は早いですが柚子を」
柑橘類なら、柚子を蜂蜜に入れて飲ませてやるか。
会計を済ませようとしていると、長ネギが視界の隅をチラつき…
誘惑に負けて買ってしまう小十郎であった。
武器にはしない、ゼッタイ
[次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!