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オトンとオカンと
たいていお土産は駅で揃う



京都駅から、沢山のバスが出て居るのでそのひとつに乗車して私たちは有名所を回る事にした。



「…時に、佐助」

「どーしたの旦那?」


揺れるバスの中、神妙な面持ちの弁丸が佐助に耳打ちをする。

「母上が何やら上機嫌なのだが」

「あれ、気づいた?実は鵺子ってさぁ……」



京都初めてなんだよね。


わくてかわくてか!修学旅行は京都だったのだが、その頃はとても旅行なんていけない状況で。家から出れないまま、修学旅行の日を迎えたのを思い出す。


旅行から帰って来た佐助たちから、木刀六本(未だに理由が分からない)と八つ橋を貰ったのは良い?思い出であるが、しかし。



「うわぁああ、竹千代!見ましたかマッ●の看板が小豆色です、あれは京都の外観を損ねない為の…」

「鵺子、それは先ほど片倉殿が…」



「あ、パン屋!なんかパン屋多くないですか佐吉!」

「……米派だ」



いささかハイテンションに成りすぎた。



◇◆◇◆◇

バスを降り、慶次が旅行ガイドの人宜しく道を指しながら説明する。

「さて、先ずは坂から行くよ?土産物屋が多いけど、こっから先移動するから控えめにしときなよ、って…」



「儂の家紋の湯呑みがあるぞ!どういう事だ…」

「斯様に扇子があるとは……!母上にこの品をー!」

「八つ橋とソフトクリーム…だと…」




「あいつ等、おのぼりさんって奴だな小十郎…」

興奮するチビたちを、遠巻きに見るようにしながらも。しっかり模造刀を見つめる梵天丸の頭を、小十郎が撫でた。


「…はい、集合!」

わらわらと、散っていた子ども達が慌てて並ぶ様は微笑ましく。

なんとか引率しながら、清水寺を目指して進む、進む。



◇◆◇◆◇


鵺子の手を握りながら、自分の居た時代の風景と似ている風景を見ていた。


その風景の、


ピントがズレるように。



「……?」


火が、見えたような気がして。



「…どうしました、竹千代?」

「…あ、あぁ…すまない」


立ち止まってしまっていたらしい。慌てて歩みを再開させると、風景はもとに戻っていた。



何か、嫌な予感がした。





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