オトンとオカンと
わくわくすんべな
結論から申しまして。
寝ました。
寝てる間に着きました。
「鵺子、歩けるか?」
その言葉に、根拠無く頷いて。眠そうな佐吉を抱きかかえて(彼はあまり寝起きが良くないので、寝かしたままにしておきたい)ノロノロと駅から直ぐのホテルに向かった。
小十郎が、小脇にチビ達を俵のように抱えると佐助が「旦那、それアウトだわ。完璧に人攫い。」と言って役を交代していたのは聞いていた。
あぁ確かに。
◆◇◆◇◆
だからうっかり、早朝に目覚めた時。
私を中心としてダブルベッドにチビ達が群がるように寝ている事に、驚いてしまった。
「佐吉落ちてる…!」
あぁぁなんだこれ。
カオスー…
というか、ベッドに私達以外居ないので佐助達を探した。
ソファーに慶次(自腹でついて来た)床に佐助(壁にもたれ掛かるように寝ている)……あれ小十…郎…?
居ない。
「……?」
そっと、ベッドを抜け出して部屋を探す。すると、私の動いた気配でか佐助が目を開けた。
「ん、どうした〜?鵺子…」
「小十郎が、居ない」
囁くようにお互い話すと、佐助は心当たりがあるのか手招いてきたので、身を寄せる。
すると、手がするりと腰に回されて私のバランスは佐助に倒れ込むように崩れた。
え、何、なぜ。
「はぁ…、やっぱ暖かいわ」
「暖をとるな…っ!」
「ん?騒いでいいのか〜?こんな所見られたら子供の情操教育上よろしくないんじゃないか」
「分かっててやるのか…っ」
逃げようとしても、何故だか抜け出せない。そして諦めて、佐助の肩に顎を載せて脱力した。
「あれ、もういいんだ?」
「…疲れた、寝る」
「…片倉の旦那はいいの?」
「……小十、ろう…は」
にこにこと、楽しそうに佐助は質問する。眠気に勝てないから、私はまどろみながら返事をしたような気がする。
「…小十郎は…どこにも行かないから、大丈夫…」
「………、あぁ…そう…」
普段通りのトーンで、返事が返って来たような気がする。でも、表情はまるで。
苦しそうな、
嘲り笑うような、
複雑な笑みを浮かべていたような気がするんだ。
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