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オトンとオカンと
夜に出掛けるって


「こ、小十郎…!新幹線は安全運転だな?!音速より早いって…それはあれか、死ぬのか?だって私は止まっているのに、足の下はそんな高速で動いていたら私は後ろに吹っ飛んでしまうんじゃなかろうか…っ!」

がくぶるがくぶる。

「…おい、」



いよいよ小十郎の声が地を這うように低くなり、眉間の皺が深くなる。
真四角の、機能性重視のシンプルな待合室で大人数である私達はある程度注目を集めていた。…それ以外の理由でも、注目は集めていただろうけれど。(佐助曰く、年若い男女が三人ぷらす一人で小学生四人連れてる状況って何だろうな。)


「…少なくとも、軍馬で崖から飛び降りるよりは安全だろうな」


「それと比べて、安全じゃない乗り物が果たしてあるだろうか!?いや無い!」


説得するのにも疲れたように、小十郎は遠い目をして呟いていたが隣の梵天丸だけは
「安全とかの問題なくてな、迂回するなんてcoolじゃねぇんだよ」
と、何故か勝ち誇った笑みを浮かべていた。



◆◇◆◇◆


結局、金曜日の夜に出発して京都で一泊し京都観光してもう一泊、後は自由に帰るようなおざなr…自由なツアーだった。バス観光とかだったら逆に大変だろう、チビ達が大人しく座っている所を想像できない。

かくして、私達はガラガラと音を立てながら、新幹線の止まる駅へとたどり着いた訳だが。



「なぁ、鵺子!あれは何だ!橋か?」

「あれは線路です竹千代、新幹線は踏切無いですから早いですよ」

「踏み切り…?何やら物騒な名前だなぁ」


あぁ確かに。



「…おい、あの店はなんだ?」

次は反対側の佐吉が声を上げる。見ると、売店を見つめていた。

「万屋ですよ、現代日本では珍しくないですね」

「…治安が良いな」



ポツンと呟いた彼の言葉は、何を根拠にしたのか聞いてみたい気もしたが、まぁ置いておく。

佐吉の言葉に釣られて、弁丸が売店を観察している。

「菓子…」


「250円までと言いました」


「うぐ…まだ菓子としか申しておらぬっ」


「…渇望しているように聞こえましたもので。…佐助!買いに行かない!甘やかし反対です!」


弁丸と佐助は不服そうだったが、荷物が増えるのはよろしくない。それに、彼らチビ達が騒がしくなる時は眠い時であるので……



◆◇◆◇◆


「ほら、ご覧なさい…」


新幹線に乗って数分で。チビ達は眠りについた。


騒音も少なく、景色は総じてぶっ飛んでいくのだけれど。
佐助と小十郎は飽きもせずにそれを見つめていた。





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