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オトンとオカンと
あれよあれよと

時は少し遡る。


◇◆◇◆◇



「小十郎の彼女…どんな人だろう…」

「もしもし、鵺子さん?まだ彼女って決まった訳じゃないんだから―――」


抽選会場を覗き見できる呉服屋のセール棚に身を潜めて、彼らはスパイよろしく張り込んでいた。
小十郎の彼女が現れると信じて止まない鵺子に、佐助がなだめるように言った言葉を繋ぐように

「―――あぁ、彼女じゃなかった……彼氏だった」

と無感情で鵺子は締めくくった。




興味無さそうに欠伸をしていた梵天丸が、思わず舌を噛みそうになりながら。

「オレの小十郎が衆道な訳がない!」

と何処かで聞いたようなセリフを吐いて身を乗り出す。
それに釣られるように、他のチビ達もそちらを見ようとするのでバスケのディフェンスよろしく手を広げて視界を妨げる。


しかし相手は、体格の違う子供4人の為カバー仕切れない。


仕方ないので、自分も相手の男を見ると…何処かで見覚えがある顔だ。

あれは確か…

「ゴミ箱を頭に…」

思い出したように弁丸も、

「あの時の不審者殿!」

佐吉が何故か不機嫌そうに、
「鵺子に惚れたと言っていた…」

と繋いだ。




「え、ちょっ、まっ」

各々の感想に、佐助が混乱したような表情で相手の男を見つめ、急に目を見開いた。
そして、不思議と優しいような笑みを浮かべて

「前田の風来坊…」

と呟いた。


え、佐助も知ってる人?


「でもなんで、小十郎の彼女…いや彼氏…?小十郎が彼氏であいつがオレで?」

「鵺子、おかしな言葉になっているぞ」

竹千代が心配そうに私を見上げたので「大丈夫です」と一応念を押してから。


やっぱり頭がショートして。




「不純同性交際禁止ぃいい!!」


叫びながら、二人の間に駆けていくという大失態を冒す事になるとは思わなかった。


「…なに?」
「は…」


案の定、ポカーンとされた。





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あきゅろす。
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