オトンとオカンと
みんなで出掛けよう
遥か昔、戦国時代において。
武士(もののふ)達は武芸で競い合い戦場の雌雄を決した。時が移り変わった今も、その魂は受け継がれているものだと信じたい――…
◇◆◇◆◇
話は現代に戻って、某日。
「片倉小十郎!参るっ!!」
「待って旦那、名乗りは上げないで此処商店街だからぁああ!」
「だまりな、猿飛…分からねぇか?……此処は、戦場だぜ?(抽選会的な意味で)」
そう。今日は全員で近くの商店街に来ている。
ちなみに私はチビたちを連れて小十郎たちとは距離をとった。理由?聞いての通りです、他人のふり他人のふり。
「……小十郎…」
「なんと!此処は戦場にござったか…っ」
呆れた、というより心配するように小十郎を見る梵天丸の隣では、慌てて周りを確認する弁丸。
それにつられて、竹千代までも「確かに人が多いな…っ!」と私の背にくっついたまま離れない。まぁそこそこ都会だから、商店街ともなるとこんなものだろう。
ところで、
「……」
「……あのー…佐吉…さん…」
「……なんだ」
「あなたも何故引っ付いて居るのか、伺ってもよろしいですか」
そうなのだ。
竹千代が私の背にくっついているのと対照的に佐吉は私の腹に頭をつけてしがみついているのである。とても歩きにくい、えぇとても。
しかしながら、何かしら理由があるのだろう。
「…人が…」
「はい、」
「まるでゴミのよ「佐吉、昨日金曜ロードショー見ましたね?」…黙れ、私が何を見ようと勝手だろう」
そういいつつ、離れない佐吉を放置して賑わう商店街を行く。たくさんの『通り』と専門店から成るこの場所の側には寺やら最新鋭の百貨店やらがあるのだが、商店街は古びた印象を受ける。悪い意味ではなくて、懐かしいような、そんな感じの。
「…今日は、祭りか何かか?」
不安げに私を見上げる佐吉に、近くを歩く梵天丸が吹き出した。
「…確かに、最初はそう思うだろうが…これが『此処』じゃ普通だぜ」
その言葉に竹千代が目を輝かせる。
「民がこれほど集まるとは…ここの城主はさぞかし立派なのだろうな!なぁ、佐吉!」
「…羽柴様の治世こそが完全だ……、」
そう言いながらも、複雑そうに行き交う人を眺める佐吉はいったい何を考えているのだろう。
なんかセンチメンタルだ…!
そんな事を考えていたら、何故だか小十郎の背にぶつかってしまった。あいたた…
「ごめん、小十ろ…」
「あ、あぁ…」
ぶつかった瞬間にチラッと、小十郎のケータイ画面が見えてしまった。
見えてはいけないものが。
『今すぐ、会いたいな』
という、メール画面。
「こ…小十郎…」
「…なんだ」
急に不機嫌になった小十郎のメール相手はいったい誰なんだろう。そして『今すぐ、会いたいな』とか普通にメールする内容だろうか、
ざわ…!ざわ…!
「母上?何をひとりで、ざわざわ言っておられるのですか」
「これは、効果音というやつですよ弁丸」
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