オトンとオカンと
行ったり来たり
「ダメっしょ鵺子ー!二度寝禁止ー!そして、ちょっとみんな集合っ!!鵺子から離れる!早く!」
佐助が私を見下ろして、余裕たっぷりに笑ってると思ったら意外に焦っていた。どうしたんだろう、これは夢なんだからそんなに焦んなくていいのに、
バチィィンっ!
「…夢じゃねぇみたいだな」
「小十郎、つねるだけで良かったんだ…そんな自分をいじめて何が楽しい…?って、現実なのか?!」
小十郎が自分の顔を平手打ちして呆然としている。そりゃそうだ、だってこれ…
「さすが成長期…」
「それ、本気なら俺様びっくりだわ」
いや、本当。
昨日まで幼児サイズだった彼らが、10歳かそこらくらいまで成長している。
確かに発言は幼児じゃなかったけどね、10歳と見積もってもみんな大人過ぎるよ。
最初に発言したのは梵天丸だった。
「…また此処に来るとはな…」
少し嬉しそうに、呆れたように梵天丸はため息をついた。
え、何、どういう。
思案していると、急に弁丸が「母上ー!」と瞳を輝かせて立ち上がった。
「再び逢い見えた事、ともに喜びましょうぞぉおお!」
「朝からテンションが高いっ」
「…てんしょん?」
さっきから発言がおかしい。そう、昨日一緒に寝ていたはずのチビたちは居なくなって。ちょっと成長した彼らは、やはり最初に会った時のように着物だった。
えぇと、要約すると。
「…私がタイムスリップ、」
「惜しい!逆だと思うよ鵺子〜」
「…遂に、話す時が来たか…」
小十郎が覚悟を決めたように、正座をして。
信じられないような話をしだしたのだった。
◇◇◇◇◇
「…えっと、小十郎たちは転生しててチビたちは戦国から来てて、何故かチビたちはもう一度トリップして来たと、」
「多分だけどな、寝てる間にチビたちは帰ってたってわけ。そして代わりに成長したチビたち…ってか旦那達が来たわけだな」
あっさりといい放つ佐助はしかし、「信じられないとは思うけど」と付け足した。
なので私も言わせて貰おう。
「信じるぞ?」
「…えっ」
「本当か、鵺子…」
「心外だな、幼なじみの事くらい信じるよ」
それに、そうじゃないと説明つかない。信じるしかない。
うんうん、と頷いていると竹千代が「久しいな、」と笑った。彼らはあまり長い間居なかったが、よく覚えてたなぁと思う。
「…いいや?忘れてたぜ、此処に来るまではな」
「うむ、今思うと不思議でならぬが…封じられるように忘れておったのだ…」
「儂もだ、まぁ夢のように束の間の事だったが」
それぞれが感想を述べている中、佐吉だけが私をじっと見つめていた。不思議に思って首を傾げると、
「……感謝する、」
いきなり、そう呟いた。
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