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オトンとオカンと
告げるべきことは


まったりとリビングに入った私と竹千代を。


「……」

正座した小十郎と、その隣でチビっ子達を寝かせている佐助が出迎えてくれた。
って、え?何ですか?

今からお説教ですか、まさかね?

「鵺子、ちょっと話がある…」
あ、死亡フラグ立った。



「…コイツ等の事についてだ」

良かった、死亡フラグは免れたらしい。けれども、小十郎の表情は硬いままなので自然と私も緊張してくる。

ピリピリとした空気の中、何故か佐助が目配せして小十郎がそれに頷いた。

「政…梵天丸やコイツ等は……」

何故か冷や汗をかきながら、視線を逸らした小十郎が肩を震わして話す。
時々私の視線を確認するように、こちらを見るのだがどうにも様子がおかしい。



「実は……っ!
…俺の親戚、で…」


「はーい、右目の旦那ちょっとタイムー!」

佐助が慌てて立ち上がって、ずるずると廊下の方へ小十郎を引っ張り出して行った。

…もう寝ていいかなぁ…。
…明日早いからなぁ…。



***


「ちょっと、旦那ぁ!今日こそ話すって言ったじゃんー!なのに親戚って…」

呆れたように肩をすくめて、佐助はうなだれている小十郎を諫めた。

「そうは言うがな…、あいつに非科学的な話をして信じてもらえる気がしねぇ…!」

「確かにー!…いやいやいや、分かるけどさ……」


悩む二人は、しばらく沈黙して。



「…明日レポート…っ!」
「明日実技だった…っ!」

二人してまた青ざめた。



***

なかなか戻らない幼なじみ二人を待つ鵺子は、とにかく布団を敷いて寝る準備を始めた。

そこに小さな銀色の頭が近づいて来た。彼は敷き布団を広げてくれて「……寒い」と呟き私を見上げた。


「他に、ないのか」

「……あ、はい…」


てきぱきしてる!チビっ子達の中ですんなり布団敷いたのはこの子が初めて、

「鵺子、寒い」

「…え、」

感心していた私は、
ぐい、と手を引かれて布団に倒れ込んだ。
至極当然のように佐吉さんは私にくっついて早くもウトウトしだした。

「ちょ、佐吉さ…」

「…暖をとっている、問題あるか?」

「無いです」


迷いのない、佐吉さんの行動にポカーンとしながらも。私は部屋の隅に立つ竹千代に「…暖取りますか?」と布団を差した。

「…民と雑魚寝するとはな」

ポツリと呟いた彼の言葉は、私には聞こえなかったのだけれど。

竹千代は結局、しぶしぶ私と同じ布団に入って横になったのだった。
…その時に、逆側に居た佐吉が私の服を強く引っ張った気がしたのだけれど。

眠かった私は、そのまま瞼を閉じてしまった。



「…母、さま…」

彼の、か細い泣くような声も。
誰にも届かなかった。


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