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オトンとオカンと
いつもの風景

子供時代に、辛い目にあった子供は。周りに対しても同じようになってしまうんだろうか?


***

そんな議題で今日の最後の講座は終了した。因みに私は寝ていたけども。

早々に退室して行く学生を眺めながら、私は手元のノートを見下ろして見事に真っ白である事を確認した。



「あーぁ、鵺子ってばまた寝てたわけ?」


からかうような声に顔を上げると、違う学科の生徒である筈の佐助がニヤニヤと前の席に座っていた。
本当に彼は神出鬼没だ。


「…昨日はラストまでバイトが入っていたんだ、」

「まーた夜中帰って来たの?一応鵺子も女の子何だからさぁ!もっと早くに帰らないと駄目だって言ってんじゃん」

ガタガタと椅子を傾けながら、佐助は私の頬に指をさした。
そんな幼なじみの言葉に、私は目を細めて笑う。

「…気を付ける。それより佐助、学祭のモニュメント作ってるんでしょう?間に合うの?」


「当然ー!俺様にかかれば、まぁ前日までには完成だな」



「…展示系は気が楽だな」

背後から、同い年にしては落ち着いた声が降る。振り返ってみると、やはり同い年にしては貫禄のある小十郎が段ボールを抱えて眉をひそめていた。

「こっちは当日に出店をするから、前も後も忙しい」

「まぁ農業系だもんなー、野菜の販売とか楽しみだよ」


小十郎が売り子なら、きっと親御さんたちに人気が出るだろうな。佐助は当日遊びたいらしいのでモニュメント作りに勤しんでいる。


「で、鵺子は何をするんだ」

「…自分は、なにも」


「はぁっ?何で!」


何で、と言われても。気が付いたらハブられていた。多分気を使ってくれたのだろう…と、思いたい。

なのに佐助は、少しだけ怖い顔をして「やっぱり女子が多いと大変だな」と深読みをする。
小十郎は「免除されて良かったな」とまた段ボールを抱えた。

「今日は鵺子の所で勉強会だからなー!」

「……わかっている」



佐助が叫ぶと、小十郎はため息をついてどこかへと消えた。


今日はバイトも無いし、家でゆっくり課題をする予定だ。
けど、その予定は大きく塗り替えられるのだ。


ある、二人の子供によって。



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