オトンとオカンと
早く見つけなきゃ
寝ていた二人を起こしにかかった佐助だったが、
「テメェ…政宗さ、梵天丸に何か有ったら……分かってるだろうなぁ?」
「佐助、君は馬鹿か?直ぐに追えば子供の足だ容易く追いつけたろうに」
寝起きの二人に責められた。
しかし、ネチネチとはせずに「佐助と小十郎は二人と行った事のある道を探せ」と鵺子は指示を出す。
「子供は無茶な行動に走り易いが、彼らは聡いから恐らく通った事のある道を使うはずだ」
「ん、了解っ」
「…お前はどうする?」
「私はマンションの周りを探す。…案外、近くに居たりする事もあるから」
鵺子の言葉に小十郎は頷くと、佐助と共に外へと駆けて行く。それを見届けて、鵺子も外へと出る。
ベッドタウンなんて呼ばれてるが、車の通りだってあるし不審者も出没している。
嫌な想像ばかりが膨らんで、慌てて鍵を閉めてマンションを降りていく。
キンと冷えた夜の空気が、不安を掻き立てるけれど。
冷たく光る月が、どこか暖かく見えた。
***
その頃、子供たちは鵺子の読み通り大学への通学路を歩いていた。
弁丸がぐずりながら歩く後ろを、梵天丸が見失わないよう見張りながら歩く。
「…おい、弁丸!早く戻れ、鵺子が心配する…!」
梵天丸が苛立ったように叫んだが、弁丸は頑なに無視をして歩く。梵天丸があからさまに舌打ちをした。
「…いい加減にしな、アンタがどうなろうと俺には関係ないが…アンタになんか有ったら鵺子が悲しむんだ」
「…っ、ははうえぇ…っ」
ピタリと立ち止まって、再び泣き出す弁丸に梵天丸が駆け寄る。
「そうだ…『母上』が心配してるぜ?」
「でも、梵……っ!帰れぬぅ…っ」
「……っ!」
そう、深夜の町は思っていたよりも表情を変えてしまっていた。彼らが小十郎たちと歩いた道であるのに、何故か来た事の無い道に見えて。
梵天丸も、不安に駆られた。
その時だった。
「……あれ、こんな時間に子供が散歩かい?」
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