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オトンとオカンと
夢をみたんだ


久しぶりに、嫌な夢を見た。
言葉に形容するのもはばかられるような、醜悪でおぞましい過去の夢を。


***

消灯済みの寝室で(今夜は佐助と小十郎が実家に服を取りに帰ってしまって、三人で川の字というよりも小の字の方が当てはまる)私はうなされていた。

息が詰まりそうな私を、無理やり起こしたのは、

「鵺子…っ!」

「…はっ、はッ…」


「大丈夫かよ、なぁ…っ!」


梵天丸が、私の肩を揺さぶりながら起こしにかかっていたらしい。
心配なんかさせて、恥ずかしいなぁと考えてから。顔を真っ青にして冷や汗を掻きながら震えている梵天丸の手を掴んだ。

びくり、としながらも梵天丸は励ますように私の手をギュッと握りしめてきた。


「…梵天丸、大丈夫…ですか?」

「…アンタのが体調悪そうだぜ、」


「大丈夫、ですか?」


重ねるようにもう一度聞くと、呆れたように頷いた彼は、布団の中で私の腹辺りに顔をうずめて、細い腕で抱きついてきた。

「…嫌な夢を見た……」


「…私も、ですよ」


彼の言う嫌な夢とは一体なんなのだろうか、知りたい気もするけれど他人がホイホイと首を突っ込んでしまったら、
彼は壊れてしまわないだろうか。


「…悪夢を見たら、人に話すと良いらしいですよ?」

回りくどい聞き方だろうか。


「……だったら、アンタが先だ」

「やはりそう来ましたか。それと梵天丸、年上の人には敬称忘れないで下さい。鵺子さんて言ってみましょう、はい」

「『鵺子』、自分が話す気無いなら諦めて寝ろ」


あぁ、正論だ。
だけど生憎眠れそうにない。


「……そういえば」

思いつきで、私が立ち上がると足にしがみついていたらしい弁丸が、昔流行った人形みたいくっ付いたまま眠って、

「いや、流石にナイ」

起こしてやるべきか、でも深夜には成長ホルモンとか脳内整理とか、生活リズム崩れてしまうし、なら梵天丸も寝かせた方が。


「言っとくが、俺は寝ないからな?」

「…この不良息子…!」

「夜更かしくらいで不良扱いすんな、…そうだな…軍馬にバイクのマフラーでも付けたら、そう呼んでもいいぜ?」


なんでそんな具体的なんだろうね。





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あきゅろす。
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